海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

最近読んだ本

ここのところ読んだ本について心覚えをば。

「有機野菜はウソをつく」を読んだ。有機農業にまつわる美辞麗句的イメージが根拠のない誇大宣伝である事を縷々説く本。農学の基本から説明されていて、栽培入門書としてみれば良さそうだが、有機野菜を攻撃する部分は、質の悪い業者を取り上げてそれが全てであるかのような印象操作的なことがなされていて、同じ穴の狢的な感じを受ける。だいたいそういう趣旨なのにこのような扇情的なタイトルをつけちゃいけないだろうよという。売りたい気持ちの鏡像関係やんね、という。しかし、最近は反原発とかエコロジーとか、そういうのを感情的に攻撃する人が本当に増えたな。

有機野菜はウソをつく (SB新書)

有機野菜はウソをつく (SB新書)

「交通事故学」も読んだ。どういうシチュエーションで時期が起こるか、じゃあどうすれば事故を防ぐことができるか、を書いた本。日常的に車を運転する人としては読まざるを得ない。しかし、当たり前のことしか書いてなくてガッカリ。
交通事故学 (新潮新書)

交通事故学 (新潮新書)

「日本語の科学が世界を変える」も読んだ。ユニークさが価値を持つ科学の世界において、標準言語である英語と違う言語を用いて活動できる日本語話者に大きな利点があると主張する本。私も以前から同じことを思っているので、ウンウンと頷きながら読んだ。きっと同じ思いを持ってくれる研究者は多いであろう。特に、最後の「おもしろい科学」が大事だ、とか、研究の中身を評価しろ、とか、ピアレビュー制の負の側面や、シミュレーション研究、生物学から遊離した分子生物学を批判するところは痛快であるよ。経済界のエライ人や政治家、文科官僚に読ませてやりたいぜ!と鼻息が荒くなっちゃう。いやしかし待て、そりゃ確かにこの本で主張されていることは、末席とはいえこの業界にいるものとしては、大変耳障りがいいのだけれど、その主張が本当かというと、それは全く確かではない。著者さえもそのことについては自覚的で本書のいたるところに弁明がちりばめられている。というわけで、イヤーな目で見させてもらえれば、これは巷間流行る愛国本の一種だとも言えるわけで、おだてられてうっとりしてちゃあ、知的退廃なんじゃないの?とも思ったりする。こういうのは公言しないで心の中に留めておいて折れそうな時の心の支えくらいにするのが吉。
日本語の科学が世界を変える (筑摩選書)

日本語の科学が世界を変える (筑摩選書)