海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

表現欲

そして今日は某私が出た大学のホームカミングデーらしい。いや、私は家族と人類全体の間にあるようなあらゆる中間共同体に対する帰属意識を持たない人間なので、自分が出ていった集団に対する郷愁の念とかほとんどない。つまり、今大学業界でホームカミングデーが大流行と言われてもひたすらキョトンとしている口だ。それおいしいの?つうことで、ホームカミングデーはよく知らないのだけど、今年はそれに合わせて学生の頃に入っていた自主映画制作サークルの同世代の人が集まって、かついまだに続いているらしいそのサークルの現役生との交流が行われるらしいと聞いて、参加する事にしたのだな。まあ、ぐじゃぐじゃ言うても同窓会なのだが、私は上記のように同窓会とかにあまり引かれるタイプじゃないので、そういうのもなんかシャクだ。ということで、同世代の人の中にはその後もずっと交流が続いている人もいるわけで、その友人と遊びに行くつもりで参。。。。あー、わかったよ。もう年取って昔の事を思い出したくなるような後ろ向き人生になってるんだよ認めるよ。

つうことで、昼から会場の楽友会館へ。初めて入ったが、なんか格式ある建物ではないですか。で、卒業以来30年ぶりに合うあの人この人もいるわけで、あーなんかオレばっかり髪白くなっちゃってさあ。で、現役の人もいて、聞いてみると、わーオレの現所属先の学生もいるじゃん。悪い事できないじゃん、という。最近はいないと聞いていたのにウソだったか。まあいい。で、なんか現役の人の作品を見せてもらう。私らの頃と比べると技術が格段に進歩していてビバデジタルでヤンすなあ、と思うわけ。あと、これは映画を作る事の敷居が下がった事と関係するんだろうと思うけれども、物語る事より絵を作る事のほうに重点が置かれているようで、そこはへーと思った。オレなんかあれに比べるとずいぶん文学的である事よ。絶対これ簡単に絵が取れるからだぜ。で、何か聞くと今や部員は70人もいるらしくってヒエーと思ったり、行く前は「今更初対面の若者の話聞いてどうすんねん」と思ってたんだけど、結構面白かった。行ってみるもんだ。

で、夜は某大人のコネで三条からふね屋本店三階のパーティールームにて懇親会。ちょっと待て。現役の人は二回生って言ってたけど、未成年だったらこれオレに監督義務が発生するんじゃないか?それはかなり面倒だぞ?と思っていたらば、みな成人だった。密かにホッとする。それはともかく、現役の人が「部室から発掘してきました」と言って、私らの時代に作っていた部誌を持ってきてくれるじゃないか。ぎえーーーー、そんなものがまだ残ってるのかああ!と驚愕する。しかし、それより一緒に持ってきてくれた今の部誌の方が面白くって、同窓と話すのも忘れて読みふける。

いや、もうすっかり記憶の彼方だが、私もそう言えばその頃何本か監督して作品作ってたわけで、たくさんのスタッフの参加がないと作れない自主映画なんてプロジェクトを動かすには、多くの人を抑圧しこちらの意思を通していかなきゃいけない。当然いろんな軋轢を生み出すわけで、まあ当時の私なんか作品と引き換えに結構なダメージを食らっていたのだな。で、その現役の人の部誌に書かれた監督さんの制作日記なんか読んでみると、今の人も同じような事を感じているらしくそのあたりの事がびしびしと伝わってくる文章なのね。なんかグダグダと抑圧の言い訳みたいなことが書き連ねられてるのよ。いや、言い訳だからいろいろひねくれたことが書かれてるんだけど、そこが熱い。その熱さをそこにぶちまけてもほとんど何の役にも立たないのだけれど、ともかくぶちまけなきゃやりきれないからぶちまけるみたいなところがあって、そういうのもなんかナイーブさを失いつつあるオッサンの心を打つわけ。感動した。いやー、なんか大学教員も長く続けていると、学生に対する無垢な信頼感なんてどんどん摩耗していくわけですよ。みんな功利主義の塊みたいになってるように思えて、ホントにそんなんで面白いの?っていつも思ってるのよオレは。だけど、この文章はちがう。先に何かぐじゃぐじゃした何に繋がるかよく分からないような思いがあるわけね。そうか、今でもいこんなタイプの人がいるところにはいるんだ、と認識できて、まあそうだ、そんなに人の心のありようが変わるわけじゃないし、自分が若い時に感じていたような事はそりゃ今の人だって感じているわ、ということを改めて思った次第。いやー、勉強になった。ちゅうことで、現役の人に、なぜこの部誌が素晴らしいかを切々と訴えてみたのだが、伝わった気がしない。オレもまだまだ表現力不足であるよ。

それから、一人の若者にいたっては、そのサークルに入ることもこの大学に来た目的の一つだって言うわけで、もうビックリしたのなんのって。というわけで、職業的な関心もあって、同窓と喋るよりも若い人と喋ってる方が面白かったのである。すみません。

で、二次会に向かい、そこで初めて合流する人もいたりして、やっぱり四半世紀ぶりにお会いするわけ。私からは皆さん変わらないように見えるけど、皆さんはこちらをどう見ているのか。それはともかく、二次会もそれなりに常識的な時間で終わるわけだけれども、それでも帰るところの無くなったT嬢をウチにつれて帰る。T嬢は初めてではないとはいえ、こういうのをすっと文句も言わず受け入れてくれるヨメサンには感謝感謝。