海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

Supplementary material

研究室で論文を書いていると、事務から一斉メール。台風接近で明日は1日大学に出てくるなとのお達し。朝10時でJRが止まるという話だし、順当な判断で素晴らしい。10日ほど前も素早い判断で素晴らしいと思ったものだが、これが授業のない期間だからできるのか、授業があってもこうなのか。後者であれかしと思うわけ。

夜、某新聞の記者さんから連絡。こないだから取材を受けていた、ウチの町が6年前に業者に委託して行った動物相調査結果の保存管理の不始末の件が、とうとう明日紙面に載るという。

ということで、もう一度この件おさらいしておこう。町は環境基本計画を作るために、6年前に2000万円程の費用をかけて町内の動物相の網羅的調査をしたのである。脊椎動物、昆虫、淡水ベントスに土壌動物まで2600種を超える種がいることを調べ上げた立派な調査だ。この手の調査はそうそうどこの自治体でもやってるわけじゃなく、その結果はこの地域の生物多様性を捉えた貴重な基礎データだ。

ところがこのデータが掲載された調査報告書が、町の文書管理規程によるとわずか5年しか保存されず、その後はいつ捨てられてもおかしくない状態だったことをヨメサンが発見したのである。確かに環境基本計画には、この調査結果の概要が記されているのだが、そこに載っている情報だけが必要ならば、2000万円もかけた網羅的調査までしなくてよかったはず。予算の無駄遣いと言われかねない。もしそうでないならば、いや私は網羅的動物相調査は意義のあるもので決して無駄ではないと思うのだが、そうであればちゃんとそのデータは大切に保存して有効に活用すべきだ。5年しか保存しないなんてありえない。

幸いこの報告書はまだ捨てられずに書庫に眠っていることがわかったので、ヨメサンはこれを情報公開請求して複製し自分でデータを確保しようと考えた。そうしておけば、博物館なりに送ることで保存のめどが立つからだな。しかしこれ枕より分厚い大部なもので全部をコピーするのはとても大変。カラーコピーだと何万円もかかる。ということで重要な部分だけ保存しようということになり、どこが重要か判断しろとヨメサンが私に命じて来た。ということでヨメサンと報告書を読んでみたらば、全体の8割を占める昆虫1999種のリストが報告書に載ってないことがわかったのである。報告書本文には昆虫相の概要の記述があり巻末にリストを掲載したと書かれているのに、巻末に何もないのだな。

これはヤバイ業者が報告書作成時にミスったに違いない。ということで急いで役場の人に頼んで業者の手元にデータが残っていないか調べてもらうようお願いした。で、どうなることかと祈るような気持ちで待っていたら、半月ほどして役場から連絡があり、紙の報告書と共に納品されていたCDの中から昆虫相リストが発見されたとのこと。最悪の事態はまぬがれた、とホッとしたという(ちなみに私が1番欲しかった造網性クモのリストはなかった。どうやらそもそも調査さえされていないらしい。なぜだ?)。ともあれ、これは行政が欠陥のある報告書をそのまま受領しただけでなく6年間ずっとそのことに気がついていなかったということだ。ちょっとこれは杜撰といわれても仕方がない。

ヨメサンがこの件に最初に気がついたのは5月のこと。町の名誉のために付記しておくと、6月議会でのヨメサンのこの件に関する一般質問で行政は問題に気がついて、データをしかるべき機関に送って保存してもらえるよう計らうことにしたようである。ちなみに今日から始まった9月議会では、ヨメサンが昆虫相リストがなかったことについて(これがわかったのは7月)、改めて一般質問したところ。1日早く記事が出てればドンピシャだったのに惜しいことである。