海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

二項検定最強伝説

昨日ヨメサンが持って来た資料は、島本町に2つある中学校で1年間に生徒が部活中に怪我をしてスポーツ保険を申請した時のものだ。で、その件数を数えると、A校が32件、もう一つのB校が17件だった。あれ?生徒数はA校が313人、B校が366人なのにケガの件数はA校が多い?A校の一人当たり事故率は0.102でB校の0.046の2倍以上だ。で、313/(313+366)=0.458を、事故が二校のうちA校で起こる理論確率として二項検定にかけると、事故が二校の間でランダムに起こるという仮説は、1%水準で棄却される。A校事故多くね?

えー?と思って、次の興味は二校の違いがA校の事故率の高さからくるのかB校の低さから来るのかということに移る。そこで、同じデータをより大規模にとった、独立行政法人日本スポーツ振興センターによる「課外指導における事故防止対策 調査研究報告書」を見てみる。

www.jpnsport.go.jp


すると、中学生の運動部員一人当たりの平均事故率は0.078だとある。ただ事故率は部によって大きく違っていて、柔道部が1番高いのだが、ゴールがあってプレイヤーが交錯しがちなバスケやサッカーなどが次に高く、陸上のような個人技だったりネットを挟んで対戦するテニスや卓球などは低いのである。で、うちの町の中学で行われている部活だけで事故率を再計算してみると若干下がって0.075となるわけ。

ともかく、この値はうちの町の中学校二校の間に位置するわけで、これじゃ先の仮説のどっちかわからんじゃん、と一瞬思うのだが、いや違う。うちの町のデータで計算した値は生徒一人当たりの事故率で、0.075とか0.078とかは運動部員一人当たりの事故率だ。単純に比べられない。

ということで、ヨメサンに、中学生のどのくらいが運動部に所属してるものかね?と聞いてみると、エライものでちゃんとそのデータが出てくるのであるな。両校合わせてではあるが0.76らしい。これを使えば運動部員数が推定できてA校が238人、B校が278人となる。運動部員あたりの事故率は0.134と0.061だ。ということで理論確率を0.075として再び二項検定すると、A校の事故率は0.1%水準で有意に高いことがわかる。一方のB校は調査研究報告書の値と有意な差はなかった。ここからA校では何かおかしなことが起こっている可能性が疑われる。えっと、これでヨメサンの議会での質問項目が1つ増えたわけ。

ところで上にも書いたように、部の種類によって事故率は大きく変わるのでA校の事故率の高さは怪我しやすい部に部員が偏っていることが影響している可能性はある。残念ながら各部の部員数のデータは手元にないので、その辺りのきっちりした検討は今はできないのだけど、とりあえずA校で行われている部活の中で最も事故率が高いのはバスケの14.7%で次がサッカー部の11.6%ということは指摘しておきたい。つまり、全員がバスケ部かサッカー部にでも入ってない限り全体で13.4%なんかにはならないわけで、それはさすがに現実的ではないだろう。