海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

そういうとこだぞ

「ルポ 人は科学が苦手 アメリカ「科学不信」の現場から」を読んだ。題名通りの本で、以前から、人間にもともと備わっている思考方法はたかだか100人程度の集団のなかでうまくやっていくために発達してきたもので、その環境とは違う対象を扱うような科学とか法律とかは、ソリが合わないのでは?と疑っている私としては、読まないわけに行かないじゃないか。著者は読売新聞の科学記者さん。記者さんの書く本というのは、本書のタイトルにもあるようにルポ的で表面をさらっとなぞっただけのものが多いのだけれど、本書もそういう本だった。ので、私が考えているような部分の記述もあるにはあるけど、そこはさらっと書かれているだけで、あとは科学に対する向き合い方によって分断されているアメリカ社会の点描みたいになっている。で、最後はじゃあこの分断をどう乗り越えるか、という話になるのだけど、その処方せんというのが、「共感」と「信頼」を使えというものであるところに座りの悪い思いをした。というのは、それって結局のところ、こちらが思っている「正しい」考え方、というのが前提になっているわけで、それをある意味天下り的に、科学が苦手な人に流し込んでやろう、っていう発想に見えるからだな。私なんか、そんなことするくらいなら、分断されているままでいいじゃないか、ってちょっと思っちゃう。それは完全に政治の話で、いや私は政治はとても大事だと思っているけれども、科学の顔して政治に参加するのは、ちょっとどうなの?って思うわけですよ。

 

ルポ 人は科学が苦手 アメリカ「科学不信」の現場から (光文社新書)

ルポ 人は科学が苦手 アメリカ「科学不信」の現場から (光文社新書)