海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

人面犬その後の顛末

生まれて初めての人間ドックを経験したのが2月の事。その結果が3月に来て、肺に影が映っていると書いてあった。すわ一大事とレントゲンとCTの検査をして、結果は何もありませんでした、というよくあるコースになったのが3月末。

それはそれで良い。問題はもう一つの結果、洞性頻脈である。もともと私は脈が速くって、平脈でも80-90ほど。それに加えて元来の私の気の弱さよ。病院にいると言うだけで通常の二割増しほど脈が速くなって、100を越えたために引っかかったというわけ。私的には理由ははっきりしているので、お医者さんから24時間心電図を取ろうと言われたり、超音波エコーをやろうと言われても、イヤ必要ないですよと思うわけ。しかしそんな素人の言い分にお医者さんが耳を貸すはずもなく、検査をして結果が出たのが4月の初め。心電図は問題なかったけれども、エコーの結果、心臓の働きの強さを示すEF値なるものが55%で、異常というほどではないものの何の問題もないといえるレベルの60%と比べて少し低い。頻脈と合わせると、何か障害の可能性もあるので経過観察して半年後にもう一度検査しましょう、と言われたのであるな。

全く予想もしなかった展開で驚くのであるが、この手の不意打ちに滅法弱いこの私。批判精神を失い言われた事を素直に受け取りがちになる。ということで、この半年「自覚症状もないし多分問題ないと思うけど、でももし何か怖い病気だったらどうしよう。ひょっとしてもう激しい運動とかできなくなるんだろうか?最後のスキーがシャトレーゼだったってどうなの?っていうか、子供の成長だけは見守らせて」とか折りに触れては心に浮かんで、必要もないのに脈を速くしてしまい、一体何をしているんだかという日々を過ごしたわけだ。この間、心臓に負担がかかるような運動や飲酒はできるだけ避けたりして。

そして一昨日が半年後の二度目のエコーで、今日がその結果を教えてもらう日。1時間目の講義を終えて激しい緊張の中病院へ向かう。待合室で脈を測るとまさに早鐘。120は堅いね。こんな状態で40分も待たされたのだけど、弱ってるかもしれない心臓がどうにかしちゃったらどうしよう?と思って更にドキドキ。と、やっと呼び出しだ。診察室に入って、お医者さんの顔を見ると、ニコニコしておられる。「この半年どうでしたか?」と問われる声もなんだか明るい。こ、こ、これは楽観していいんでしょうか先生?

で、結果的に言うと、二度目の検査は何の問題もなかったとのこと。無罪放免だ。「大丈夫ですよ」と言ってくれる私より若い先生に抱きつきたくなったけれどもグッとこらえ、心も体も軽くなって帰ってきた。こうして2月に始まった人間ドックにまつわる一連の病院通いがやっと終わったのである。それにしても人間ドック本体の費用は全額補助が出ているけれども、その後の一連の検査に二万円近く費やしたので、決して安からぬ出費であった。これって医療によるマッチポンプに躍らされたと言えない事もないかと思うけれども、今日の健康で軽やかなる私には、そんなひねくれた物の見方はふさわしくないのであることよ。