海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

ところてん

昨日の日記は一昨日のことを思い出して書いたので、昨日起きたことを書き漏らしていた。ので昨日のことを今日書く。つうのは4回生でハエトリグモの行動を見ている人がいて、とってきたオスが成体かどうか見てくれと言うので顕微鏡で確認しようと思ったわけだ。最初はサンプル瓶越しに、と思ってたのだけど、この個体、中で隠れ家作ってて糸越しには良く見えない。むうと思って、別の容器に採り出してやろうと蓋を開けたらピョコンと瓶から飛び出した。jumping spiderの謂である。で、一気に床まで飛び降りて、これがシラヒゲハエトリなもので、床のグレーのカーペットの上で見事な保護色。慌ててはいつくばって探すと、いた!!しかし捕獲に失敗。ウヒョー机の下に潜り込んじゃったよどうしよう。もうなんか良く見えないので、下に金定規突っ込んでゴソゴソやったら今度は引き出しの中に入ろうとする。止めてーその段にはがらくた突っ込んでるのでその隙間とか入られたら絶望的。こんなことで卒論生の大事な観察対象を失っては教員としての沽券にかかわる。のでこの1年くらいで最高に必死になってハエトリを机から誘導して追い出し、何とか確保に成功。ああ良かった。で、今日は3回生の相手。夏休みにそれぞれに課題を出していたのだけど、上手く行かない人が多い。まあこの段階では生き物相手のデータ取りがいかにこちらの思うように行かないものかを経験してもらえればそれで良いのである。ポイントは、その経験をしてじゃあどうするか、ということで、今日は学生の1人が見てても何が何だかわからないからこの土曜日に私についてきてくれと言い出した。あー、これはとても良いことなので、一も二もなくついていくことにする。主体性の現れであるよこれはね。うれしいね。

杵柄

ついに後期が始まってしまった。この夏休みはろくすっぽ本業の研究をしないままに過ごしてしまい、秋のギンメッキの交尾シーズンも台風とその後の山の通行止めとで何もできず終りかけている。この上授業が始まってはもうあかん。研究者人生でもっとも生産性の低い夏ではなかろうか。やばい。という中でいきなり3コマ授業なわけですよ。久しぶりなのでぐったり。ところで、昨日の昼頃、庭にいたヨメサンが頓狂な声を上げるので、何事かと思うと手にイシガメの赤ちゃん持ってるじゃないか。大変!この夏に産まれた卵が有精卵だったのか!!ということで一家総出で庭を探してもう一個体見つける。で、ヨメサン曰くあと数個体はいるはずだとのことなので、探すも見つからなかったのだな。それが今朝起きたらヨメサンが誇らしげに、1個体見つけたというじゃないか。くそう昨日オレがあんなに探したのによ。で、帰ってきたらば、またヨメサンが鼻高々。もう1個体見つけたんだそうな。これで4個体。まだ見つかるのかしら。

補遺

そういえば

kensuke-nakata.hatenablog.com

への追記なのだが、資料を見ると、部活以外のケガの発生件数もわかるのであるな。A校は16件、B校は21件。これを事故が二校のうちA校で起こる理論確率0.458(全生徒に対するA校の生徒数の割合)を使って二項検定にかけるとp=0.442と当然ながら有意ではない。両校の部活動でのケガ数データに見られる違いが、教員による医者に行くかどうかの判断の違いによるのなら、部活以外のケガ数でも両校に有意な違いが出そうなものである。ところが実際にはそんな違いは見られないない。ということで、やはりこのケガ数データの違いは素直に両校の部活ケガ率の違いの表れと解釈すべきではなかろうか。

不思議の国

町の福祉大会というのがあるらしくヨメサンは式典で挨拶があるとのことで朝から出かけていくのだが一時間もするうちに私も徴発される。式典が終わるとバザーやらなんやら催しがあってそこを巡るのだけど1人じゃいやなのでつきあえとのこと。まあ気持ちはわかるのででかけていく。と、辻元議員がいてヨメサン他と話になるので混ぜてもらう。いろいろ興味深い。ウチに帰ってきて上の子とシネコン。「アントマン & ワスプ」。右手で指を慣らされたら左手を見るべし、と言う話。わりと面白かった。物を大きくしたり小さくしたりして駆動するアクションは、まだ新鮮味があるね。それから基本的に悪者が出てこないので見てて安心するのも良い。そんなぬるいのダメじゃん!とか途中見てて思ったけど、そういうキャラで一貫してたからさ。いやところでアントマンだしアリ映画だって思うじゃないですか。そしたらまさかのクマムシ映画でビックリした。つう事で満足して帰ってきて、残っていた編集委員会の資料作りを3時間ほどやってから、インド料理屋で宴会。今日は初めて来る若い女性がいたので6人が自己紹介したのだけど、1人は町長の父でもう1人が議員の夫で、とか言われて目を白黒させてはった。まあそうだわな普通。

車輪の再発明

行動学会の自分用ポスターは一応の完成を見てあとは業者に印刷を頼むのみ。次にやらなきゃならないのは、この一年間のじゃーえその出版内容を編集委員会と運営委員会と総会で報告するための資料作りだ。Editorial Managerの報告作成機能を使うのだけど、去年もやったのでラクチン、と思っていたらば、この機能が複雑怪奇な割りにはこっちの思っているようなデータを出力してくれず、手作業で出力データを整形していかなきゃならなくって、ここでその整形方法を完全に忘れていると言うお約束。なんで手順のメモを書いておかなかったんだよ。バカバカバカ>オレ。ということで、また一から考え直しである。半日かかって2/3くらいできたところで、手作業を自動化するためのスクリプトが去年の作業領域から発掘される。ああああ、Editorial Managerの出力をこのスクリプトに食わせりゃ良かったのかあ!なんで忘れてたんだよ!バカバカバカ>オレ。折角の休みをムダにしたことにがっかりして夕方は畑に。トウモロコシを収穫したあとずっと放置していたところを秋作のために耕すのである。一畝やっただけで汗だくになる。なんか今日蒸し暑さが復活してる。

モビルスーツ

右手親指の関節にぷくっと膨らみができた事に気がついて近所の整形外科に行ったらば消炎剤塗ってしばらく様子見ましょうと言われて二週間。今日もそのお医者さんに行って、これ何ですか?痛くはないから困らないけど、って訴えたら総合病院紹介されてそっちでも見てもらったらガングリオンのできかけだと思うとのこと。大きくなったら水抜きとかするけど別に今はなんてことないと。関節の潤滑剤が漏れ出して膨らむもので痛みが無いのが特徴だそうで。確かにそういわれるとそんな形の膨らみをしている。ヘーさすがお医者さんにいくとなんでもわかるなあ。ということで、これで貴重な午前の時間を消費してしまったのだけど、この年になったら健康管理も仕事のうちだから。午後は月末に迫る行動学会用のポスター作成。昨日いったんの完成を見て連名で発表するS宮さんに見てもらったところいろいろ問題を指摘されたので、そこを修正。今回もデザインを凝り目にしたのでいったん完成だと思ったものをいじろうと思うと、一カ所だけじゃなくて全体のバランスを調整しなくちゃならないので手間がかかり、結局午後いっぱいかかってしまう。

計算なんて片手間です

JR島本駅西地区開発に伴う人口増加の戸数密度を用いた推定

島本町駅西開発計画では、開発後に人口が増えることが予測されている。その程度について、行政はいまだに数年前に作った想定人数1250人という数字を使い続けているけれども、現在の計画からすると、それは完全に根拠を欠いている。行政は開発後の人口増加に伴う渋滞の深刻化(JRの線路で仕切られているこの地区から車で国道に抜けるために使うことにできる道路は事実上片側一車線のもののみで、今でさえ土日には出口で渋滞を起こしている)や保育所や学校の教室数不足(人口3万人の町で今ですら数十人規模の待機児童数となっている)の可能性に関して「問題ない」としているが、根拠を欠いた人口推定に基づいた、この町の見解もまた根拠を欠いている。では、一体何人くらい増えると推定すべきであろうか。

現在の計画では、西地区の住宅地は3つの区域に大きく分かれる。1つは面積2.2haで高さ規制12mの第一種中高層住居地域。ここは高さから考えて概ね戸建住宅になると思われる。2つめは、面積1.8haで高さ規制25mの第二種住居地域。ここでは8階建て程度のマンションの建築が可能だ。3つ目は、面積1.4haで高さ規制50mの第二種住居地域。ここでは15階建の高層マンションが計画されている。

各地域において、それぞれ住宅が何戸くらい入るかを考えよう。ここで参考になるのが、名古屋市において、住宅タイプ別用途地域別に戸数密度を調べた佐藤ほか(2006)の論文である。名古屋市の値を使って島本の戸数推定ができるかということについては、名古屋駅周辺のごく狭い地域を除けば、彼我の間に居住環境として大きな違いはなく問題はないように思われる。

佐藤 圭二, 海道 清信, 浦山 益郎, 天野 ゆか, 鶴田 佳子, 石田 富男, 松山 明, 石原 宏, (2006)住宅戸数密度による居住地像の研究, 住宅総合研究財団研究論文集, 32 巻, p. 57-68, 公開日 2018/01/31, Online ISSN 2423-9887, Print ISSN 1880-2702, https://doi.org/10.20803/jusokenold.32.0_57

http://www.jusoken.or.jp/pdf_paper/2005/0403-0.pdf

さて、この論文の4ページ、掲載雑誌のページ番号でいうと60ページあたりからが、大事なところである。特に表3.1.1が肝要で、ここに具体的な戸数密度の数字が示されている。これを使って島本町西側の戸数推定を三つの区域それぞれに対して行っていこう。

まず一つ目の地域。名古屋市では戸建住宅(長屋形式も含む)は1haあたり平均55戸あるようだ。詳しく見ると用途地域によって戸数密度にはばらつきがあって、低層住居専用地域は36戸と少ないのだが、島本駅西地区には低層住専はないのでこのばらつきを考慮する必要はない。ということでhaあたり55戸を採用しても構わないだろう。全体では2.2ha*55戸/ha=121戸となる。保守的に、中高層住専の値(なぜかこの数値は平均より小さい)である52戸を使ったとしても114戸となる。

次に二つ目の地域。ここは中層マンションになる可能性もあるし戸建になる可能性もあり、その混ざり度合いによって戸数が変化するだろう。そこで最大値と最小値を推定する。まず最大は全体が中層マンションとなる場合だ。名古屋市の例を見れば、住居地域で共同建中層の場合、haあたり178戸とある。この値を二つ目の地域に当てはめると、地域全体では1.8ha*178戸/ha=320戸と推定される。ただし、この論文における中層住宅とは3〜5階建を指しており、この地域では8階建も可能であることを考えると、この値はかなり保守的な値であることには注意が必要だ。一方、戸数が最小になるのは全部が戸建てで埋まる時で、この場合haあたり55戸と考えれば全体は1.8ha*55戸/ha=99戸となる。

最後に3つ目の高層マンションが建つ地域だ。この論文における共同建高層は住居地域における戸数密度はhaあたり200戸ということで、これを西側で高層マンションが建つ1.4haに面積をかけると280戸となる。しかしこの値はあまり良くない推定値だと考えられる。というのは、この論文では6階建以上を高層としており、比較的低いマンションが平均値を押し下げていると考えられるからだ。15階建を想定している駅西の高層マンションの戸数推定に使うのは不適切だ。そこで他都市での類似規模のマンション建設の事例を参考にしよう。

例えば西東京市で2009年に建てられたBrillia City ひばりが丘は、1.4ha14階建で356戸である。15階建に換算すると381戸だ。

ニュースリリース〜東京建物


志木市で2005年に建てられた志木ガーデンヒルズは、やはり1.4ha14階建で337戸である。15階建換算で361戸。

www.pitat.com


島本町では、現在建設中の関電グランド跡マンションが1ha11階建で264戸。1.4ha15階建だと504戸

www.haseko-sumai.com


サントリー研究所跡地マンションが1.2ha14階建で315戸なので、換算すると394戸

m.e-mansion.co.jp


また既に建築済みのライオンズガーデン水無瀬グランリバーが2.4ha15階建で556戸。これを1.4haに換算すると324戸となる。

http://www.daikyo.co.jp/dev/files/20090803.pdf

これらを平均すると394戸となる。が、ここは保守的に見積もって350戸としておこう。

これだけあれば、そこそこ正確に西側に住むことのできる人口を推定することが可能である。

1つ目の地域は戸建なので子育て中の家族が居住者の中心となるだろう。日本の平均世帯人員は2.5人程度だが、子育て中の家族の場合、もう少し高い値になると思われる。行政によると、近年の町内の大型マンションでは1戸あたり平均3人が居住しており、戸建て住宅はもう少し多いとのことである。ということで、保守的に1戸あたり3人が住むと考えれば、この地域では342人ないし363人が住むこととなる。

次は2つ目の地域である。ここは中層マンション中心の場合戸数が最大となるが、このとき独身者と2人世帯が居住者の中で一定の比率を占めると思われる。そこで1戸あたり人数は全国平均の2.5人を採用する。すると全体は320戸で800人。最小値は全部が戸建ての場合でやはり子育て家族中心と考えられるので全体99戸に1戸あたり3人で297人。実際は戸建とマンションの混ざり具合によってこの中間の値をとると考えられる。

3つ目の地域は、やはり子育て層が中心なので1戸あたり3人とみて350戸で1050人だ。

ということで全部足し合わせると、最小シナリオで1689人、最大シナリオで2213人となる。注意したいのが、この推定は各所で保守的な値を採用していることで、最小値最大値とも上振れの可能性が高いことだ。

そう考えれば、西側全体で2000人が住むと推定して、大きくは間違ってはいないだろうと思われる。この計算には、農住ゾーンと称していかにも農地保全をするように見せかけているけれども、すぐに住宅に転換できる地域2haが含まれていない。これも考慮すると、むしろ2000人というのは控えめな値であって、蓋を開けてみれば2500人ほどになっても決して驚きではない。

このように、現在町が使っている想定人数1250人はあまりに過少である。開発を進めたい側には、開発しても大きな問題は生じませんよ、と主張するために、人口増加を控えめに推定することにインセンティブがあるのであろう。だが、このような甘い見通しに基づいて杜撰に開発が進められ、その見通しの2倍弱ほども人口が増えたならば、激しい交通渋滞や保育・教育環境の悪化が生じるのは避けられない。それで被害を被るのは町の全住民である。行政は、開発ありきで甘い見通しにしがみつくのをやめ、現実的な推測に基づき意思決定すべきだ。