海の底には何がある

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なんとかの沙汰も金次第

イエズス会の世界戦略 (講談社選書メチエ)

イエズス会の世界戦略 (講談社選書メチエ)

毎日新聞にこの本の書評が載っていて、16世紀終わりのイエズス会による長崎要塞化の動きのことが記されていた。私はこのあたりの事についてトンと無知であって(高校で日本史は受講しなかったせいかもね)、そんな事があったという話に驚きこれは読んどかなきゃということで買ってみた。それに、この時期のイエズス会と言えばヴァリニャーノ神父であるけれども、大昔知り合いが大河ドラマでこの人の役をやっていたので親近感もあって(←どんな親近感やねん)。

内容的にはイエズス会と俗界の政治勢力(支援者たるポルトガル王とインドから東アジアに至る現地の実力者)との関係を、経済的な面からを中心に記述している。で、日本の場合、キリシタン大名に対する支援が必要で、にも関わらずその庇護があまり頼りにならないということで、日本に既に存在する資産や信者を保護するための拠点を自ら確保するための長崎要塞化ということが書かれていた。こう、私は信仰心とは無縁のところで生きている罰当たりものであるけれども、こうしてお金回りの事を使って書かれていると、宗教のことも興味深く読めるものである。

ところで経済的な状況を説明するため出費額を記載するところがあるのだけど、当時の貨幣単位での記載だけではなくて、それが現在に換算してどのくらいの価値を持っていたかが書かれていれば、より親切だったかなと思った。