海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

罵倒商法

「最高学府はバカだらけ」を読んだ。まあ業界本だからね。

この本のポイントは、学生はバカである、大学はアホっぽい、でも学生はなぜか「化学反応」してバカでなくなる事がある、の三つ。私の立場から言うと、3番目があるならつまり大学はちゃんと機能していると言う結論になるのだけど、一方で何かの事をバカだのアホだの言って本を売るのは最近の流行りである。ということで、「化学反応」について書かれた最終章まで延々と、外の世界から見て大学がいかにズレているかが記されるのだな。でも、内部の者として言わせてもらうと、ズレていることこそが大学の存在理由じゃないかと思うのよ。別に全てのコミュニティーが同質化する必要なんて無いのじゃないかしら。それから、私は意味不明の学部名と評されたところに所属しているわけだけど、こういう奇妙な名前の大学・学部名があるのは、大学人たちのせいだけじゃなくて、いわゆるお上のお達しのせいもあるのですよ。そうすると残る大学のアホっぽさってのは広報がムチャクチャだってことになるのだけど、それってつまり「取材がスムーズに行かないじゃないか」って文句なんでしょ?やっぱりあんまり問題ないんじゃないの?

それから、都合の悪い情報を隠したり情報操作をしたりする私学を非難するところで、「そんな私学にも税金が投入されている!」と責めるわけだけど、そこで使う数値の一兆五千三百億というのは、全ての大学に投じられた総額である。一部の大学の素行不良に対して、この総額をぶつけてくるってのは、これも一つの情報操作じゃないんですかね?

とかなんとか言ってみたけれど、総じてみるとこの本は、業界のポイントについて割と良いところを突いていると思う。少なくとも危ない大学うんぬんかんぬんといった本よりはずっとしっかりしている。なんというか、調査対象への愛情も感じられたりするし。ということで、読んで損はしないとは言わないまでも、話の種にはなるかもしれない。少なくとも苦笑を楽しむ事はできます。

ただし第四章だけはおふざけが過ぎて感心しない。この章の内容を事実だと真に受けて怒る人が必ず出てくると思うけれど。。。はっ、ひょっとしてそのような人が現れたら、それをネタにして更に何かを書こうって魂胆なのか?

最高学府はバカだらけ―全入時代の大学「崖っぷち」事情 (光文社新書)

最高学府はバカだらけ―全入時代の大学「崖っぷち」事情 (光文社新書)