「ハプスブルク帝国」を読んだ。去年の夏にポルトガルに行って、自分はヨーロッパの地域史についてまったくの無知であることが自覚されたので、以来いくつかの歴史系の入門書を読んでいて、今回がポルトガル、ケルトについで三冊目である。いやもちろんハプスブルクの名前は若い頃に世界史の授業で聞いているわけだけど、この本を読むとやっぱり自分は何も知ってなかったことがよくわかった。ハプスブルク帝国ってのは、たくさんの領主からなる連合国家で、ハプスブルク家といっても特に初期の頃は必ずしも強い王権を持っていたわけでなく、後期になってもその由来から来る分散権力構造を色濃く持っていたというのが、とても興味深かった。上からの強い管理に基づく社会組織じゃなかったのね。で、そのような成り立ちゆえに第一次大戦の国家挙げての総力戦に耐えられなくなって崩壊したという。で、帝国が崩壊してからの栄光を取り戻そうとするハプスブルクの人たちの動きが最後に書かれているのだけど、これが泣ける。でも良かったね生きていられて。
- 作者: 岩崎周一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2017/08/17
- メディア: 新書
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