海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

母と子

kensuke_nakata2004-08-13

論文書きの合間に、講義のネタ用に近くの神社の池にカメの写真を撮りに行く。町中にある神社の池と言うのはどこも飼えなくなったカメの放逐場所になっているものだが、ここもご多分に漏れずミシシッピーアカミミガメだらけ。

それはともかく、神社に着くと小学校低学年くらいの男の子がお母さんに怒鳴りつけられている。どうやら言いつけを守らなかったせいで、何かを池に落としてしまったみたいなのだ。で、別の池で写真を撮っている私に構わず、お母さんキレて怒鳴りまくる。セリフの一言一言に「キー」っていう擬態語をつけたくなるくらいの勢いである。

そんな中、男の子は拾い上げるために何か長い棒を探しに行こうとするのだけど、その度にお母さんが「あんた!どこいくの!大体あんたがいつもあたしの言う事をバカにして聞かないからいけないのよ!!」とか難癖をつける。あげく「岸から身を延ばせば取れる!取れ!」とか無茶な事を言う。

「おいおい滑って落ちるぞ」とか思っていると、さすがに男の子「そんなの無理だよ。。」とか言うわけだが、ますますキレるお母さん。とうとう「お買い物に行ってくるから、帰ってくるまでに取っておきなさい!」と言い捨てて去っていった。するといつの間にか男の子も消えてしまった。

私は「はてさて一体どんな大事なものを落としたのやら」と池を見てみても何も無い。ただ、ビニール袋が一枚浮いているのみ。??と思いながら、また撮影に戻ったのだが、そうこうするうちに男の子が長い柄のついた網を持って戻ってきて、目が合った私に気まずかったのか「ちょっと池に落としたから。。」と説明を始めた。これは優しくしてあげなきゃと思って「おじさんが手伝ってやろか?」って聞くと「大丈夫」っていう。とりあえず見守っていると、彼は網を使って件のビニール袋をすくいあげた。そして私に「どうもありがとう」って。え?君たったそれ一枚であんなに怒られてたの?

一瞬「君は悪くないんだよ。ボクが聞いていた限りにおいて、あれは君のお母さんが悪い」って言ってやろうかと思ったけど、そんな考え方を植え付けられる事が本当に彼にとって良い事なのか、材料が少なすぎて判断できなかったので、ただ「よかったね」とだけ言っておいた。

その後、ミシシッピーアカミミガメの求愛行動を始めて見た。本当にメスの目の前で前肢をぷるぷるって震わせるんだな。