海の底には何がある

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フード・セキュリティー

フード・セキュリティー―だれが世界を養うのか

フード・セキュリティー―だれが世界を養うのか

人口増加が食料生産の増加を上回る、というマルサスの予測は戦後の人口爆発の時代には当てはまらなかったように見える。実際食料生産は人口増加をしのぐ増加ぶりを見せていたのだが、その主たる原因は単位面積当たりの収量の増大であった。しかしこの書によると、近年はそれも限界に近づいており、さらに一部地域では、持続可能なレベルを超えた農業生産からくる環境破壊のために、収量の減少や耕地の放棄が起っていると言う。実際のところ、ここ数年の世界全体の穀物生産量が需要を下回っているという話は以前から話題になっている。特に世界レベルの食料需給に大きな影響を与えそうな国は既に小麦や大豆の輸入国である中国であり、過去の日本で起こったような農地の工業用地への転用と食習慣の変化が生じ今以上に大量の穀物を輸入する必要が出てくれば一体何が起こるのか。日本への穀物輸出が後回しにされるリスクは考慮する必要があるのではなかろうか。そのとき最も脆弱なのは、都市生活者ではないか?そして、このような事態がここ10年近くの間に到来するのだとすれば、私たちもそれに対する備えを考えておく必要があるのではないだろうか?このような暗い予想が杞憂に終われば良いのだが。