海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

模様替え

1Fの私の研究室は窓の向こうをずっと別の建物の壁が遮っていて、お日さまの光も入ってこず、穴蔵のようである。で、長崎では海と雲仙普賢岳を望む素晴らしい眺望の部屋に住んでいた私としては、この部屋はどうも気が滅入るなあと思い、ときどき喫茶店に脱出して仕事したりするようになったのだな。で、今日ふっと、机の向きを逆向きにすれば(私は窓に向けて机を配置するのがキライで、垂直に配置して窓に平行に座る。だって、背中の方向に広い空間があるのって落ち着かないでしょ)、やっぱり壁ばかりなのは同じなのだけど、それでも少しはその向こうにあるキャンパスの森と空が視界に入る事に気が付いた。もうこの部屋に来て二年も経つのだからもっと早く気が付けよと思わんでもないが、とにかく気が付いてしまったら、もうこのままではいられない。模様替えというものは、思いついたら何を差し置いてもすぐに取り掛かるべきである。それができないことほど腹ふくるるわざはない。

ということで、早速取り掛かったのであるが、狭い空間にいろんなものが詰め込まれている私の部屋では机の向きだけ変えるのは難しく、その他のものも全て反対に向けなければイケナイと言う事で、大騒動が始まった。まあ、でも大掃除も兼ねられていいかなと言う事で。締めきり仕事もないしね。

で、一人でゴソゴソと少しずつ物を動かしてピークに達した頃、ゼミ生のK君とその友人がやってきた。落葉層を漁っていたら何か芋虫上の幼虫の集団を掘りだしたのだけど、これは何ですか?と。「いやあ、ごらんの通りの状態で、あ、でも私は最近学研からでた日本産幼虫図鑑を買ったので、それを貸してあげよう」というと、二人は部屋の隅で図鑑を繰りはじめて「きっと蛾の幼虫だよ」とか言っている。私は「あー、それはハエとかアブといった双翅目の幼虫かもよー」と言ってみたりしながら黙々と作業を続けていると、二人は図鑑を見ながら大盛り上がり。勝手に納得して帰っていった。こういうのって、なんかいいよね。

で、4コマ目の授業開始の直前に模様替え終了。大変に達成感が得られたが、腰の痛みも得られた。眺めも少し改善されたし、これで私も少しはドヨンとしなくなるといいな。


夜、子供を寝かしつける時に道連れで寝てしまい、11時過ぎに起きてきて、さあ日記でも書くべえとふっとネットサーフィンとかしてみると、毎週金曜更新のはずの動物行動の映像データベースのコラムがアップされてないじゃないか!いや、これまでも執筆担当者が忘れて、コラムが落ちそうになる事は何度かあって、その度に溜めてた原稿を放出したり、急遽ピンチヒッターで書いたりしたことがある。だから私も自衛のために金曜日にはチェックをかけて「こりゃどうも忘れているな」と思った時はリマインダーとして働くようにしていた。しかし、今日は模様替えに熱中していたもので、すっかりその事を忘れていたのだな。で、もう11時20分。いくらなんでも今から担当者に連絡したって遅い。しかしこれまで一年間一度も落ちた事のない動物行動の映像データベースのコラムである。かくなる上は、と猛然とキーボードに向かう私。で、なんとか書き上げて11時58分にアップ。いやー、昨日締めきり仕事がないって書いたもんだけど、やっぱりこういう事態に襲われるのだなあ。