海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

グエムル −漢江の怪物−

なんのかんのと言っても、今年も10日に一本くらいのペースで映画を見てきているわけだけど、今年は何故だか不作の年で、そこそこ面白いと思えるものはあっても、「ああ、映画を見続けて良かった」と思える作品には一度たりとも出くわさなかったのだな。「ひょっとして私の感性が枯れ果ててしまっていて、良いものに感動できなくなってるんだったらどうしよう」とかちょっと不安だったりしたのだけど、それは杞憂だったのね。スーパーレイトショーで「グエムル −漢江の怪物−」を見た。ユニークな映画が作られる余地ってのはまだ残ってるんだなあ。今年見るならこれ一本と言う事で是非。

それはともかく、帰ってきてネット上の評を読んでいたら、なんでもこの怪物がパトレイバーに出てくる廃棄物13号の盗作だという騒ぎが起きているとか。確かに、証拠としてよく掲げられている画像を見ると、細長い体に頭部の大部分を占める大きな口、大きく発達した前脚と小さい後脚と言ったところが良く似ている。でも、この画像って映画を見て受ける怪物の印象と随分違うんだよね。映画の中では動きによって印象づけられる部分が大きいのだけど、その動きは、エイリアンと米国版ゴジラ(というかティラノザウルス)を状況によって使い分けていると言ったもので、証拠として掲げられる画像から受けるような、太い前脚で後半身を引きずる感じとは大分違う(私はパトレイバーは見ていないので廃棄物13号がどんな動きをしているのかは知らない)。私など、この画像を見た時に「グエムルってこんな形だったっけ?」って思ったものだ。ということで、この盗作騒ぎと言うのは、ためにする議論なんじゃないかなあと。っていうか、発達した前脚で歩くっていうところとか顔は口だけとかって、ドゥーガル・ディクソンのナイトストーカーじゃないの?(パッと見はかなり違うけど、ちょっと体を前後に引き伸ばしてやれば)

それに、もし本当に怪物のデザインが真似だったとしても、それが一体なんだって言うんでしょう?この映画の本質はそんなところにはないし、出来上がった作品が全体としてオリジナリティーのある優れた作品ならば、それでいいじゃないですか。このような良い作品が、本質とは関係ないところでケチをつけられ足を引っ張られるのは寂しい事です。