海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

密売人

毎年この時期は長崎にゴミグモを採りに行っているのだけど、長崎を離れて9年目、今年はついに行かない事に。というのも、ギンメッキの共同研究者であるところのS宮さんが、なかなか長崎でギンメッキを見つける事が出来ず関西に採りに来るのだけれど、そのときにゴミグモを採って持ってきてくれる、と言ってくれたからだ。それなら、と私もこっちでギンメッキを取って空港で交換すれば効率が良いじゃないか。

という事で、朝一で4つほど事務作業を片づけ、二時間目に授業を一つしてから、急いで13時前ウチに帰ってくる。昨日、ヨメサンと子供が散歩していて近くにギンメッキがたくさんいるところを見つけてくれてたからだな。行ってみると確かにウハウハいて、200m程歩いただけで、採集予定数の30をあっという間に満たし、時間はまだ14時前。今月初めに下見した時の感じだと、もうちょっと広い範囲を探さなきゃならず、採集には2時間ほどかかると見ていたので、S宮さんに16時に到着する飛行機にしてもらっていたわけだ(それでも採集に手間取る可能性も考えて帰りの飛行機を19時前にしてもらっていたと言う)。すなわち予想外に時間が余ってしまった。

そしたらなんと、今日はぶーちんの授業参観が13時50分からじゃないか。折角なので覗いてみる。算数の時間で、二桁の繰り下がりのある引算の問題を作ってみようという内容で、最初に先生が作る時のポイントについて説明。一の位の数は引かれる数字より引く数字の方が大きくならねばならず、逆に十の位の数は引かれる数字が引く数字より大きくならねばならない、とのこと。「3から5は引けませんね」とか説明されているんだけど、ここでそういう説明をしちゃうから将来負の数を導入する時についていけない子が出るんじゃないかよ、とか思うけど、そんなこと言ってもせんないので、そのまま見続ける。で、説明が終わり、班ごとに分かれて相談しながら問題を作る子供ら。ぶーちんの班では、誰かが10の位の数を、引かれる数3、引く数6にしようとする。そこで理系の大学教員の子で既に負の数の概念を持つぶーちん「それじゃマイナスになるからダメ」と主張するのだけど、聞いてもらえない。そこで何度も何度も言い募るぶーちんだけど、糠に釘だ。そりゃぶーちん、マイナスって語は通じなくても仕方ないと思うぞー。そんなところに先生の指導が入り、問題が完成。今度はそれを解くわけだけど、またこれが迂遠な方法で、引かれる数の10の位の上に1減らした数を書き、一の位の上に10を書く。で、引かれる数の一の位の右横に、10から引く数の一の位の数を引いた答えを書き、それと引かれる数の一の位の数字を丸で一つに囲んでから、答えの一の位に、その二つの数字を足したものを書いてから、最後に十の位に並んでいる数字の一番上の数字から一番下の数字を引いたものを答えの十の位に書く、という、こう文章で説明するだけで複雑怪奇極まりないものなのだ。私が子供の頃はこんなにややこしくなかった気がするんだけど(それって私がちゃんと先生の話を聞いてなかったからか?)。。。こんな複雑な手順を覚えるくらいなら、10から19までの数から一桁の数を引いた答えのパターンを全部覚える方がずっと楽なんじゃなかろうか。っていうか、これを機械的に行えば答えは出るんだろうけど、それって本当の意味での引算理解の妨げになるんじゃないか?

時間もうまく潰れたので車で空港に。ちょっと早く着いたのでスタバで待っているとS宮さん登場。さすがに憚られるので、隅でコソコソとブツを交換。中身を検めるにオスと他の種が混じっていたので、これは持って帰って放してもらう事に。意味もなく1000kmの空の旅という滅多にない経験ができたと言う事で許してくれたまえ>クモ達。17時過ぎまで色々情報交換をして、私はもらったクモを研究室に持ち帰るため、あと一時間半は帰りの便を待たねばならないS宮さんを放置して辞去。こっちに来て初めての、一日二度目となる大学行き。微妙に損した気持ちになる。で、体重を測り造網枠の中に放して帰ってきたら20時半。お腹空きました。