海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

ノルマ達成

元旦なので、例によって内田樹の本を読んだ。「街場の文体論」。定年の年の最後の授業の講義録で、14章からなっている。そうか14回で良かったんだ、という。それはともかく内容的には、語るべき意思があることがくりえいちぶな文を書くための要件、みたいなことだと思うのだが、それって根性論?と思われそうだ。だけどその真意はメタメッセージを送れって言うものだから、それはつまり、書くことの身体論みたいな話だということだ。それにしても、大事なのはメタメッセージであってメッセージでの中身ではない、というのは、大学教育においても言えることかなと思うわけ。私の実感として、私ができるのは学生を揺らしてやることだけで、知識なんて伝えられんのよ。っていうか知識伝えたければ本読んでもらえばいい。それってメタメッセージの話と通じるよね。で、そういう観点で言うと、MOOCなんてのは高等教育とは最もソリが合わないのよね。メタメッセージ、そこにはないから。っていうか、いつのまにかMOOCって聞かなくなりましたね。あれ、やるくらいなら本読む方が早いからね。あと、面白かったエピソードの一つが内田樹が仏文学界をやめようと思った時のことで、フランス帰りの若い学者が全日本人の聴衆を前にフランス語で講演したのを聞いて、ダメだこりゃと思ったという話。そりゃダメだわな。伝える気あるんかって言う話だが、しかしそういうのって某学会だけじゃないんだな、と思ったという。

街場の文体論 (文春文庫)

街場の文体論 (文春文庫)