海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

限定的勝利

つうわけで、今日が本番。「失敗したらどうしよう」とヨメサンに訴えるのもせんない。ともあれ、10時半集合のところ、梅田のヨドバシに先に行くので9時にウチを出る。で、計画通りに事は進んで10時10分過ぎに、三年通った十三の駅に降り立つと、名前を呼ばれるので振り返ると、同じ年くらいの女性が。うーん、と考えてると名乗られて、そう言われれば三年生の時同じクラスだったよね、と言うことを思い出す。で、高校まで雨の中一緒に歩くわけだけど、こういう時に講演役になってるのって話題が続いて楽。そうでないと、卒業以来初めて会って顔と名前を一致させられるまで時間のかかる人とオレうまく喋れないよ。歩いているうちにだんだん昔のことが思い出されてくるけど、それをうまく雑談に混ぜられないさな。で、高校に着くと、昔と全然違ってるのね。話には聞いていたけど、実物を見るとなんじゃこれって感じ。既にたくさんの人が集まっていて、と言うのは今回の同窓会は私のいた学年が幹事学年ということらしく、同級生がこぞってスタッフをやるからだな。私も役割を振られていたのだけど、ともかく講演の方が優先順位高いから、役割うっちゃって機材の準備やらに向かう。講演としては、とにかくアウェイに違いないから、なるたけシンプルに、ということをこころがけ、take home messageは「クモっておもろいよ」ということにして、できるだけキレイなクモの写真を多用し文字は少なめでスライドショーみたいにして、かつ途中で適宜ポピュラーカルチャーからのビジュアルの引用なんかも入れ込んだので、画面がキレイに見えないとまずい。もし環境が悪かったら、直前だけどスライドの調整しようと思ってたのね。そしたら、意外と暗い部屋で、プロジェクターも時代物だったけど光量十分なので、それはよかった。だけどもセッティングで結構トラブって、30分ほどあーでもないこーでもないと苦しむ。いや、あまり意識せずにディスプレイの主副を交換しちゃって、その戻し方がわかんなかったのよね。でもまあなんとかなる。そんなことしてると緊張感もすーっと引いていって、あーこれなら大丈夫だ普通に喋れるわ、と言う状態に。で、外は台風が近づいているわけで、警報が出ても決行するから、とか、場合によってはオープニングの現役高校生オーケストラ部のアクトが無くなるかも、とかの情報が飛び交う中、うーんでもこの台風って弱い雨台風だし、暴風警報が出る可能性はゼロだし天気予報見ても雨もたいしたことなさそうだし、心配することなにもないんじゃないの?と周りにいる人に訴える。しかし、中には警報が出れば種類に関わらず高校生は帰ると思ってる人もいるみたいで、違うのになー、と言ってもなかなか信じてもらえない。そんな中、司会の人と打ち合わせしたり、胸に花つけてもらったりしてるうちにボチボチ会場に人が入ってきて、ほらね。まずは親戚が現れるのでご挨拶。次に父親が現れて、なんか入り口で同級生たちに歓迎されてるので、恥ずかしながら近寄っていって挨拶すると、父親が「花束が、、」みたいなことを口走る。ん?そう言えば講演の後に花束をもらえると言う話になっていて、女子の同級生からもらえてウフウフみたいな話を聞いていたはずだが、ちゃうやんけ!と。そうか、父親が来るのがばれて、仕掛けられたな、と納得する。あーでもよかった、ホントに奇襲されたら、醜態をさらしかねないところだったので。そうこうするうちに時間。まずは同窓会の総会が40分ほどあってから、ついに私の出番。広い会場で、暗かったので聞き手の顔もよく分からなかったので、反応がいまいち掴みにくかったけれども、まあそこは舞台生活四半世紀ですよ。途中で言いよどんだところが二ヶ所ほどあったことと、時間調整が少し狂って最後の数枚の説明をはしょりすぎたことを除けば、まあまあ上手に喋れた。受けもそこそこ取れたし。質問もちゃんともらえたし。80点くらいか。で、懇親会へ。聞いてくれた人は同期の人も世代の違う人も(父親も含め)一様に「面白かった」と言ってくれたので、自己評価よりも上手くできてたのかもしれない。さらに、せっかくなので、去年から今年にかけて出した本を持ち込んで販売とかしたんだけど、飛ぶように売れたらしく、41冊用意したのが完売。これ後20冊くらい余裕で売れたかも。これも結構受けたことの証左か。でもね、年に一回くらいある、ホントに上手にできた時ってのは会場全体を手玉に取れるような感覚になるのよね。今日はそこまでは行かなかったので、過分に褒めてもらえているようで面映ゆい。で、懇親会での演者の役目は、講演の感想戦を聞き手とすることにあって、本来の私の役目はどこかのテーブルについてそこでホスト役をすることだったのだけど、そっちは本務じゃないよね、と勝手に判断して好き放題動かさせてもらう。で、中に「N井さんの同期なんだけど、彼も来たがってた」てなこと言う人がいて、「げげげ、そういえばノーケアだったけど、業界の人が来る可能性もあったじゃん。良かったよ来てたらもっと調子狂ってたわ」とホッとする。で、懇親会も無事に終わって、同期だけの二次会が近くのホテルであるので移動。なんかモテる。高校の時は話したこともなかった女性たちから一緒に写真撮ってと言われて、そりゃあ悪い気はしないよねオレだって。願わくば35年前にそう言ってくれていれば。そして少人数に別れて三次会。そこでやっと座ることができる。朝9時から21時までの間で座ってたのが総会の時の40分ほどだったというねこれが。ようやったわ。つうことで、講演もそこそこ上手くできて、本もバカ売れで概ね良い一日だったのだけど、全員で校歌歌う機会が総会、懇親会、二次会と三回もあったのはかなわんかった。これだけはどうにも苦手だ。オレなんかもう何も覚えてないのに、周りの人は何でこんなに朗々と歌っているのか。みんな楽しいのか?