海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

「父親力 母子密着型子育てからの脱却」

kensuke_nakata2003-05-04

正高信男著 ISBN:4121016300


子供の成長において、社会化に導く存在の重要性を、人間行動学の立場から説きおこした書。ここではその存在に対して「父親」と呼んでおり、それは必ずしも男性の役割であるとは限らない。父親を社会規範や倫理と結びつけることは、決して新しい発想ではないと思うが、男性の生物学的特徴、特に声の高さが「父親」の役割を果たすのに適しているということを、行動学的実験データを用いて示しているところがユニークなところで、この人らしい。ただ同じ著者の他の書と比べて、主観性が強いように思える。これは、著者の思い入れが強いためだろうか。


いやしかし、こんな本を読んでいることを日記に書くと、まるで私が父親の勉強をしていると思われそうだ。それはちょっとしゃくなので、一応弁明を。ずっと以前まだ私が学生だったかの頃に、著者の講義を聞いた事がある。行動学をかじり始めた当時の私にはとても面白く、何冊かこの著者の発達心理学絡みの本を読んで、幼稚園の先生をしていた妹にも勧めたものだ。で、その後はあまり触れる機会も無く過ごしていたのだが、子供が産まれてから、友達が「やっぱり正高は行動学的にすごい」と誉めそやしているのを聞いて、そうじゃそうじゃとヨメサンに読ませるために、何冊か求めたものの一冊である。


昨日から続けざまに本の紹介をしているのは、昼間の野外調査(ビデオを仕掛けてひたすらイベントが起こるのを待つ)の間に読書をするからなのだが、今日はそれを終えて帰ってきてみると、子供の調子が悪い。一昨日までの熱は下ったのだが、今日は嘔吐の連続である。都合5回吐いて、たまりかねて夜間救急医療センターに行ってきた。風邪の続きだろうと言うことで、ほっといても治ったのだろうけど、やはりお医者さんにそういってもらえると安心する(なんか、小児科って親の精神衛生のためにあるみたいな気さえする)。こんな気の小さい私だが、いつか「父親」として振る舞えるのかしらん。