海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

ジリスとガラガラヘビの対決

最近「The Cognitive animal」 ISBN:0262025140でいる。タイトル通り動物の認知世界について、哲学や心理学や動物学と言った分野の研究者が書いた短いessayを57編も集めたもの。擬人化について語ったものやら具体的な動物を材料にした研究についてのものなど内容は千差万別。で、一日数ページずつ読むと言うと遅々とした歩みだが、めっぽう面白い。


なんでもジリスはヘビと直面したときに、それがガラガラヘビかどうかとか大きさはどのくらいかとか体温はどのくらいかとかに応じて対捕食者行動を変えるらしい。その意思決定の前には、今直面している相手についての情報を得なきゃいけないわけだけれど、相手がガラガラヘビかどうかはすぐわかるとしても、草むらの中で相手の大きさを見てとるのは至難の業だし、相手は変温動物なので体温は大きく変わるわけだ。


そんな情報獲得の問題をジリスはどうやって解決しているかというと、ヘビと見ると相手のリーチの外から何かを投げてみたりして、ヘビに防衛反応を起こさせる。ガラガラヘビならそんなとき尾をガラガラと鳴らすわけで、そこからヘビの大きさと体温についての情報が漏れ出てくるらしい。大きなヘビのガラガラ音は低く、体温が高ければ振幅の大きな音がするとか。


つまり、ジリスは情報獲得のために自らヘビに働きかけを行なう。ここで大事なのは、認知とは感覚器に入ってきた刺激を脳内で処理して情報を取りだすだけの受動的なものではなく、もっと主体的な行為であると見なす事が出来ることである。


こうしてみると、認知過程と言うものは「埋め込まれ」たものだと言える。でも、それは脳の中のように生物の中に埋め込まれたものではない。認知は生物の間に「立ち現れる」ものなのだ(適当に訳したので不正確だったらごめんなさい)


であれば、認知が主体的な側面を持つのであれば、そこで問題になるのは注意(attention)の構造ということになるはずだ。さあ、それをどうやって調べる?