海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

黒く塗れ

今年は平日で1日講義がないのは月曜日だけ。なので、データを採るなら今日だ。何せ今はゴミグモとギンメッキで平行して3種類の実験・観察をしていて、フルセットで作業しようと思ったら講義と両立しないわけ。と言う事で、昨日ギンメッキを採集して備えていたのである。実験・観察にはクモが網を張ってくれなければいけなくて、ナイーブなギンメッキは採集直後しか造網してくれないからだな。しかししかし天気予報が雨と言う。雨だとビデオ観察ができひんやないか!とガッカリしていたのだけど、朝起きたらなんとか持ちそうな雲行き。ああまだオラ見放されてないだ、と思ってイソイソ研究室に着いたらば、1匹も網を張ってなかった。とってもガッカリしたのだけれども、一方作業量が減って余裕の1日を過ごせたのも確かだ。

ギンメッキは背中が銀色のクモだからギンメッキなのだけど、中には黒い斑を持つものがいて、背中全域の中で黒い部分の占める比率には連続的な個体間変異がある。で、なんでこんな黒いのがいるんだろう?この変異にどんな生態学的意味があるのか?と言う事が問題になるのだけれども、もう私は断言しちゃう。黒っぽい個体の方がたくさん餌を採れているのだな。なんせ1個体80分の観察19個体分で予備解析したら、餌が網に衝突する頻度と黒色比の間に0.1%水準で有意な正の相関が見られるのだもの。こんなにクリアーな傾向、野外の行動データではなかなか見られませんぜダンナ。

クモの中には、目立つ体色をまとう事で餌を誘引している種がいる事がわかっている。しかしギンメッキの銀色はそれとは逆に、目立ってしまって餌に逃げられる事になっているのかもしれない。もちろん黒と銀の斑が餌を誘引している可能性もあって、どちらが正しいかは今後の実験待ちだ。

しかしギンメッキだから、銀色でいる事にこれまで何の疑問も持たなかったのだけれども、今のところの結果からすると、なぜギンメッキは銀色なのか?と言う事の方が謎のようである。