海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

変質

先日買った前売り券を使うべく朝から子供とシネコンへ。「ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国」である。ここ何年もウルトラマン映画は、ウルトラマンを何人か組み合わせて過去の人気怪獣とそのグレードアップ版と戦わせるという、お父さん世代にも目配せをした、悪くいうと後ろ向きな構造を持っていたわけだ。ところが今回は前作から登場した新しいマン(レギュラーのテレビシリーズがまだ無い)を主人公にしてお馴染みのマンたちはほとんど出てこず、舞台も地球でも光の国でも無い他所の宇宙であるという。その新機軸に挑戦する心意気や良し、、と言いたいところなのだが、正直かなりガッカリな出来であった。まず第一に、主人公のゼロの言葉が大変に汚い。ヒーローが二人称に「てめぇ」なんて使うのはヤクザ映画の伝統を持つ東映の作る仮面ライダーと戦隊物だけにして欲しい。ウルトラマンはもうちょっと上品なキャラではなかったか。第二に、ゼロの目つきが悪い。サコミズ体調曰く、釣り上がった目は偽物の証拠、ではなかったか。第三に、ウルトラマンの魅力は怪獣の魅力。しかるに今回の敵の大部分は同じ形をしたロボットの大群であって、これが宇宙戦艦の群れと襲ってくる姿は、ガンダムかいっ!といいたくなる。第四に、というかこれが一番重要なのかもしれないけれど、イベントを順にこなすだけの芸の無いお話。今回のもう一つの新機軸が、ファイヤーマン、ミラーマンジャンボーグAをリニューアルした巨大な人達が味方になること(ここでも、今作の作り手の、ウルトラマン要素の軽視が見て取れる)。で、その過程を順番に描くのにほとんどの時間が費やされていて、絵面的には派手でもお話的には単調極まりないという。脚本を練る時間がなくて、とりあえずやっつけ仕事をしてみましたという印象を受ける。全くデザインの異なる4体が並んでも単に画面がゴチャゴチャするだけで、絵的な統一がちっとも取れていないのも辛い。というわけで、子供がいつまでもウルトラマン好きなのは好もしいけど、来年までに映画からは卒業してくれたらいいのになあ、と言う。

帰ってきて論文読み。綺麗な体で新年を迎えたい。