海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

とらなかったタヌキ

少し前、新聞でエライ売れていると言う意の記事を読んで、それなら私も貢献するか、と「働かないアリに意義がある」を買って読む。昨日に続いて、知り合いの本を読むシリーズ。私も昔はこの分野の仕事していて(1つ自分の仕事を紹介してもらえていた。ありがとうございます)、働かない個体だけをコロニーから取り出して、働くようになるかどうか見る社会除去実験をしたこともある。当時からパレートの法則について意識はあったのだけど、当時は一介の大学院生で「まだ業界の立ち位置も定まっていないうちからその手の一般受けしそうなネタに手を出せるかい」てな意識もあって距離を置いており、そのまま社会性昆虫研究から離れたわけだな。そんな私をヨメサンは「印税ガッポガッポのチャンスを逃したわね!」と、甲斐性無し呼ばわり。ところで、反応閾値モデルは、状況が変化した時にその変化に対して労働分配パターンを適応的に調整する働きを持つように思えるけれども、それは常に満たされない需要が存在するか、もしくは需要が満たされるまでにタイムラグが生じるかのどちらかが伴うように以前から思っているのだけれど、どうだろう?この疑問は別の形で言うと、行うべき仕事の量が同一である場合、反応閾値が低い働き者個体だけで構成された集団と反応閾値が高い怠け者個体だけで構成された集団を比べると、集団全体で実際に遂行された仕事は後者で少なくなるように思うがどうか。もしそうだとすると、これはパレートの法則が述べるところと異なるのであって、その辺りの詳細が本書では良くわからないのが、私的には残念(まあ新書だからね)。この仕事ってもう論文になってるんだっけ?

いや、こんな事を書いてみたが、この本において働かないアリの話はトロイの木馬。このネタが大好きなビジネスマン界隈をこれで引き付けておいて、真社会性にまつわる進化生態学の話を一般に普及させようと言うのが本書の狙いであろう。社会性・利他行動一般の話として見ると互恵的利他性の話が薄くて、そのあたりヒトの事に興味の中心があろう普通の人は気をつける必要があるかもしれないけれども、文章は平易に書かれていて読みやすくて良いと思う。あと、虚学の必要性を説くところとか、北大でも状況は厳しいんですかね。

っていうか、私も一冊くらい本書こうかな。何がウケるだろう?

働かないアリに意義がある (メディアファクトリー新書)

働かないアリに意義がある (メディアファクトリー新書)

今日は雲が多くあんまり暑くなりそうになかったので、家族で天王山に登ってみた。竹林の中を通るせいか、いやっちゅうほど蚊にたかられるが、お気楽なハイキングとしてちょうど良い感じ。今日は朝起きてから思い立ったので午後出発となり、山頂まで行くだけで同じ道を降りてきたけれど、今度は別方向に降りて引き続きサントリービール工場に向かうコースも良さそうな気がする。