海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

鉄腕

評判が良いとりみきの「Mighty TOPIO」が読みたくて、生まれて初めて電子書籍なるものを買ってみた。SF大将と遠くへいきたい石神伝説を足してコンパクトに圧縮した8ページ。つまり、とりみきのほぼ全容が詰め込まれているという(←言い過ぎか)。で、私には評判の最終ページよりも、その前の7ページ目の方が印象強かった。のしかかるように立つ灰色の建物の圧迫感と、次のコマの湧き上がる入道雲の清々しさとの対比。最終ページで、この二コマが何によって繋がれているかが描かれるわけだけれど、そのものが何の力で駆動していたかを考えた時、前のページの二コマの落差が重くのしかかる。喪失感にも読めるし、希望にも読める。傑作だと思う。

本作が収録されているのは「僕らの漫画」。iPhoneiPadを持っている人はApp Storeでポチっとすれば良いと思う。売り上げは震災復興のため寄付されるそうだし。

ここから先は勝手に思った事。子供の頃、夏に自分の良く知った小さな世界で虫取りしたりして遊ぶのは、人間にとって重要な生きる意味そのものだと思う。で、既にそれを我がものにした大人が、まだこれからの子供からそれを奪う事は許されないと思うのだよ。電力が潤沢でなくなると国が貧しくなって困ると言い募る人は多いけれども、そういう人は、今年虫取りができなかった子供たちが大勢いる事をどう思うのだろうか。私は、生活が不便になる事と虫取りができなくなる事は対称じゃないと思うのよ。