海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

今夜はサイコ

何を隠そう私はヒッチコキアンであって、この趣味嗜好を披瀝する機会がすっかり少なくなってきた昨今、これはちゃんと観賞してここでヒッチ愛の一つも語らねばならないとシネコンに行ってきた。「ヒッチコック」。夫婦はキツネとタヌキの化かし合い、と言う話。女性の地位向上の歴史、と言う話でもある。そして、男と女は別種の生き物、と言う話でさえある。私は学生の時に映画作るサークルに入っていたものだが、そこで自作のシナリオを披瀝して女性のメンバーから「女の気持ちが判ってない」とか批判され「そんなものはどうでもいいのだ」などと嘯いてずいぶん不評を買った事を思い出した。今ではそんな発言をするのが愚かであると言う事くらいはわかるようになったが、やっぱり良く判らないものは変わらず良く判らない。だけど、この映画によるとヒッチ大先生も同じなのだから、そう気に病む事もないのであろう。いや、ヒッチ愛を披露するのであった。あの写真を見てあれがグレースケリーであると判別できてグレースケリーがヒッチコックの何たるかを知っているのは私の年頃より上の映画ファンに限られると思うのだけど、それがわからないとヘレンミレンが支離滅裂な事をしているように見えてしまうと思うがどうか。そして、最期にカラスが飛んでくるのも、ヒッチのフィルモグラフィーを知らないと意味不明だろう。全般に見る側に映画の教養を要求する作品であった。それにしてもなぜ声が熊倉一雄でないのか!あそこまで体形を似せるなら声も似せなきゃダメでしょう!(←違う)