海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

シャボン玉とばそ

今日から調査で東京(多摩だけど)。今年はいろんな人にデータを取ってもらっている関係で、自分でやるちゃんとした調査はこれが初めてだったりする。体たらくと言っていいかもしれない。ともかくだ、いくら年を取ったからと言って、自分でデータを取らなくなったらこの仕事に就いているものとしてはお天道さまに顔向けができないわけで、今日から20日までは私的にとっても大事なのよ。ということで、17日と言うことで帰省ラッシュを交わしたぜとすっかり油断していたけれども、良く考えてみたらば今年のカレンダー的には、今日はお盆休み終了直前じゃないか。ということで帰省客で満員の新幹線で東へ。午前中に到着して、私の代わりにデータを取ってくれている学芸大のSさんのところへ。データ取りのために預けているカメラを使いたいので受け渡しだ。そしたらSさん虫取り網を持って現れるので、どうしたことかと尋ねてみると、某北の方のNさんに頼まれてセミを取っているそうな。なんか世間っていろんなところで繋がってるよね。で、カメラをもらって、駅に取って返しU丸さんと合流。今回は、一昨年神戸でやったギンメッキを使った野外実験のグレードアップ版をわざわざ東京(多摩だけど)まで来て行おうと言う趣向。神戸では、クモの個体数を揃えるのに苦労したんだけど、私の古巣たるキャンパスにはこの時期わんさかギンメッキがいて、「まあキャンパス内で軽く100匹は堅いね」と豪語していたらば、U丸さんがそれなら古巣を調査地にすればいいじゃないか、と。なんかそれって若干の倒錯を感じないでもないが、確かに私の長いギンメッキ研究人生の中でも古巣はかなり個体数密度の高いところで、そう言われるとわずかな旅費で質の高いデータが得られるならそれも良いかと思えるわけですよ。オトナだから。で、ともかくもU丸さんとお昼を食べて古巣へ。午後からの調査と言うことで、どんなにか暑いだろうと思っていたけど、そこは東京(多摩だけど)。なんか風が爽やかに吹いてくるわけよ。ってか強い風。。。古巣の辺り、いつも朝は凪いでいるんだけど、午後になると南風が吹くんですよね。忘れてた。いや、今回の実験のテーマはギンメッキの体色と移動性の関係で、野外で網の上にいるクモの背中の写真を取りまくってその模様で個体識別し、翌日網を引っ越しするかどうか見てやろうと言うのが目論見。だけど、小さなギンメッキを被写界深度の浅いマクロレンズで撮影しようと言う時には、風が吹いて網が前後に揺れる条件下ってのはまあ最悪といって掛け値がない。ともかくも、風が少しでも吹いているとピントが合わないし、森の中のように光量が足りないところだと、シャッター時間が長くなって被写体ぶれも起こるわけ。すなわち、あの風が止むまで撮影は待つべし、とどこぞの巨匠のような事をしなくてはならない。もう効率悪くって仕方がない。さらに悪い事に、風が強すぎるせいかそこここに網が壊れて端の方の糸にぶら下がっている個体が多数いるわけ。こいつらは少なくとも今日はデータにならないわけよ。で、100個体なんて余裕よガハハ、という豪語は完全に裏目に出て、13時から17時まで汗だくどろどろになってキャンパスの隅々まで探したのに70個体程しか見つからなかったと言う。もう後半は日も陰ってくるし、予想と違う逆境に集中力を失いはじめるしで、明日ちゃんと朝から調査をしようとU丸さんと誓い合う。今日の午後網が壊れておこもりになったクモたちが明日はお出ましになりますように。そして明日の朝はちゃんと風が止んでいますように。ということで、ホテルに戻って取りあえずシャワーを浴びて泥と汗でできた有機体から知的生命体に戻ってから、再び学芸大のSさんと合流、U丸さんと三人で晩ご飯。私的には、堅実にデータを取っては欠かさず送ってくれているSさんにお礼の接待の気持ちだ。ということで、馴染みの店長のいる焼き肉屋でカルビどんどん食べる。うめえ。