海の底には何がある

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黒いギンメッキは夏は日陰が好き論文

朝起きたら「お前の論文のPDFくれや」メールが来ていて、ん?と思って調べてみたら、こないだアクセプトになったやつがパブリッシュされていた。あれー?なんで?と思っていろいろ探ると、昨日公開を知らせるメールが届いていたのだけど、フィルタされていたのだった。Gmail勘弁してください。ということで、PDFを落として送付。さて、この論文だけど、ギンメッキの造網場所選択について調べたもので、ギンメッキにはその名の通りほとんど体色が銀色のものもいるのだけど、そこに黒い斑点がある個体もたくさんいる。で、その黒色部の大きさが個体によって違っていて、もっとも大きなものではほとんど黒一色のものまでいるという。その銀地と黒色との面積的な比率に個体間で連続的な変異が見られるのである。で、ギンメッキの造網場所で全天写真を撮ってその場所の直射日光暴露時間を推定してみると、夏には黒色個体はあまり直射日光が当たらない場所に網を張るのに対し、銀色個体は日なたから日陰まで広く網を張っていたことがわかったのである。このパターンは春や秋には見られないので、おそらく夏の黒色個体の造網場所選択の強さは直射日光による温度上昇を避ける効果があるのだろうと考えられる、という。で、先行研究で黒色個体の網にはエサが多くかかることがわかっているので、この利点と夏に造網場所が制約される欠点とがトレードオフになっていて、個体間の体色変異が維持されるのかもね、と考察しているのだな。まあ私にしては、わりと生態学色の強い論文になっていて、こういう操作実験をしていないデータに基づく話はどうも結論に自信がなくて、それでまとめるのに時間がかかっちゃったんだな。なんせこの話は古巣のキャンパスで何年もギンメッキとってるときに気がついたもので、データとったのは10年以上前なんだからなあ。

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