海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

知ってるけど知らない

「ヒトはなぜ難産なのか――お産からみる人類進化」を読んだ。出産でこんなに苦しむのは人間だけらしい。で、その理由には二つあって、頭部の巨大化というのはまあ当たり前の事であるけれども、直立二足歩行を始めた事に伴う骨盤の形状の変化のために産道が曲がってしまったからだ、というのは、なるほど!なるほど!と面白かった。この部分は研究室に向かう電車の中で読んだのだけど、あんまり面白かったので午前の講義の中で紹介してしまったよ。で、赤ん坊はその曲がりくねった道を通るために通常4回回転して出てくるのだそうな。そう言うのって大変身近な現象なのにも関わらず、これまで全く考えた事もなかった。あと、帝王切開の増加を受けて、例えば赤ん坊の頭蓋骨が最初からくっつくような進化が起ったりして、しかしその進化の後に帝王切開の技術が失われたりしたら人類絶滅!みたいな想像が開陳されているところがあって、まあそれはほとんどSF話なんだけど、でも、帝王切開で産まれた娘が出産する時、通常より帝王切開率が高まっていたりするかどうかは調べられそうな気がするなあ、と思ったりした。こういう読者の妄想を拡げてくれる本というのが、ワタシ的な良い本の定義である。

ヒトはなぜ難産なのか――お産からみる人類進化 (岩波科学ライブラリー)

ヒトはなぜ難産なのか――お産からみる人類進化 (岩波科学ライブラリー)