海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

棚上げの代償

学生には、データを数値化するのは客観性を担保するためにとっても大事、とかいつも言っているわけだけれども、実際にやってみるとそんなに単純でもないのも本当。私はここのところギンメッキの体色変異を調べていて、こいつは銀地に黒斑の体色を持っていて、その黒斑の大きさが個体によって違っている。そこで、背面に占める黒色部の比率が最も重要な基礎データになるのだけど、こんなの写真を撮って画像解析にかければ簡単に測れるとやる前は思うのだけれど、実際に写真を撮ってみると、たまに銀とも黒ともつかない灰色部を持ってる個体とか、時間の無い中で慌てて撮影している写真なので影が出来たり逆に白く飛んだりしている部分があったりする個体もある。で、こういうのは、ここまでが黒、とか、画像解析ソフトによって明らかに色がおかしく判定される部分は、あらかじめこちらで正しい色に塗ってやってからもう1度解析にかけるとかしているわけ。そうするとどうしても恣意性からは逃れられなくなる。という事で、私とS宮さんで同じ写真を独立に解析してみて、値を平均するか、あまりにも値が異なって出る個体はデータから省くかしなくちゃいけないかなあ、とぼんやり考える1日。理屈はそれで良いと思うんだけど、それを実行するためにはS宮さんに2000枚を越えるだろう写真を渡さないといけなくなりそうで、それって現実的なのか?という思いもあったり。取りあえず当面の論文に関わる46枚を渡してみた。というわけで、データの数値化ってのはげに厄介であるという話。

そんなこんなで研究室で当惑していると、見知らぬ学生が訪ねてきて、中古教科書を寄付してもらって販売して利益をラオスに寄付する活動をしているから、学生への宣伝に協力して欲しい、との事。ホウホウともかくも学生がいろいろ活動するのは良い事である、と、いいですよと答えてみると、その学生感動してウルウルしている。いやあなた、これくらいの事でそんなに喜ばなくたって、と尋ねてみると、他の教員からはけんもほろろの扱いを受ける事がほとんどなので嬉しいのだとの事。あれ?オレまたローカルに空気の読めない判断してるってことか?でも、別に悪い事じゃなさそうなので、構わんよな。