海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

盗まれた町

去年まで定宿にしていたお宿が営業をやめてしまい途方に暮れていた我が家だけれども、そのお宿がオーナーが変わって新しくオープンしたと、先代のオーナーさんから教えてもらったので今回はそこに泊まる。実は新オーナーさんご夫婦は、慣れるまでは知り合いのみお客にとる事にしていたらしく、ほとんど宿の宣伝もしていなかったので、一月頭にヨメサンが電話したときはたいそう驚いたそうな。ウチが初めて連絡してきた普通のお客さんらしい。で、先代のオーナーに紹介してもらって、などとヨメサンが説明すると、そういう事ならと快く受け入れてもらったというわけ。

と言う事で、朝起きると、雪は昨夜と比べても更にたくさん積もっているわけで、ちょっとこれじゃあスタックした車を掘り出す事もかなわない。今日は前回余ったはくのりのリフト券があるのだけど、車が動けなきゃ行けないじゃないか。雪もどんどん降るし、これは下手したら宿に幽閉か?と思っていると、そこに除雪車がやって来る。前のオーナーさんは自ら手押しの除雪機で駐車場を除雪されていたのだけど、新オーナーさんは業者さんに頼んでいて、その車が来てくれたのだな。で、空いているスペースの雪をゴゴッとどけて脇に積み上げ、ウチのともう一台スタックしている車を、牽引して助けてくれる。もうにっちもさっちも行かなかった車があっけなく脱出に成功。除雪車無双である。

と言う事で、これでいつでも出発できるわけだけれども、相変わらず激しく降る雪にヨメサン子供がすっかり気力を削がれてしまい、行きたくないとか言い出すわけだ。で、私としても捻挫した足首は回復してきたとは言えまだ痛むわけで、嫌がる連中を無理やり連れ出すほどのパワーにも欠ける。そうこうするウチに、ヨメサン子供はかまくら作りとかし始めるわけで、スキー好きがこうじて宿の経営を始めた新オーナーさんに同情されつつ、しばらく皆の行く気が出てくるのを待つ。で、やっと11時に出発する事になって、はくのり方面に続く道にでてみるものの、道路に乗る雪の量が相変わらず半端でなく、スタックの可能性が頭にちらつき始める中、木から落ちてきた雪で全く前が見えずに車が進行する状態になったりして、ヨメサンが縮み上がってしまったので、もうはくのりまで行くのは止めて岩岳で滑る事にする。で、一ヶ月ぶりに板を履いてみて、恐る恐る滑り出す。足首は痛むには痛むのだけど、それはちょっと後傾になったりして板の水平方向にかかる力に負けてしまって足首が捻られるからで、まっすぐ上から板を踏む分にはそれほどでもないことがわかる。つまり痛みを避けるためには、常に正しいポジショニングを意識してなくちゃならないわけで、それはそれで滑りには良い効果を生むわけよ。で、今もう一回転んで足首に力かかったらまずいわけでスピード落として滑らなきゃならないんだけど、今日みたいな柔らかい雪がたっぷり乗ってる日は、そういう身では好都合なわけ。ホントは、脇に行ったら新雪がいっぱいあってよだれでるんだけど、さすがに今回は自重しなきゃと我慢しながら。で、何本かに一回はちゃんと休憩も取って、とにかく慎重に慎重に15時半まで滑る。上がりも早いよ。

で、宿に戻ってくると、除雪機によって積み上げられた高さ5メートルほどの雪山にオーナーさんがすべり台をこしらえてくれていて、歓喜するウチの子たち。5時くらいまでずっとソリ遊びをしていたという。一方、私とヨメサンは、宿の薪ストーブの面倒を見る。というのは、どうも新オーナーさんがあまり慣れておられないようで、なかなか温度が上がらないからなのだな。ストーブの機種によってコツとかいろいろあるんだろうけど、何せ我々は先代のころに何度も何度も焚くところを横で見ていていろいろ質問していた口だ。あれこれ試すうちにカーッと燃えてきて、新オーナーさんもその実力にびっくりと言う。いやしかし、私らを薪ストーブ生活に引き込んだこの機械の面倒をこうしてみる日が来るとは思わなかった。ということで、晩ご飯を食べたあとは、泡盛などご馳走になりつつ薪ストーブ談義。

と言う事で、新オーナーさん一家も気持ちの良い方たちで、安心して今後もこの宿を使っていけますですよ。ウチとしても、新しい宿にチャレンジして外れくじ引いてもつまらないわけで、我々に薪ストーブの素晴らしさを教えてくれたこの建物の居心地の良さにこれからも触れられるのはありがたい限りです。まあ、大枠としては馴染みの宿なんだけど、細かいところは当然違っているわけで、そう言うのはちょっと奇妙な気持ちにもなったけど、まあ、おいおい慣れていくでしょう。