今日のカメラは260本。テレビニュースの効果は心配するほどでもなかったと言う事か。まあ、もう来るべき人は来尽くしているのかもしれない。定点観測も今日で終わりにしよう。
「真実 新聞が警察に跪いた日」を読んだ。北海道県警の裏金を暴いて謝罪に追い込んだ北海道新聞が警察から逆襲を受け屈服するまでの経緯を、裏金記事の担当デスクの目から書いた本。逆襲と言っても、そのやり口は権力を使った嫌がらせであって、やられる方は嫌がらせの直接の被害に加えてその対処に労力を取られて本業がおろそかになる一方で、嫌がらせをする側が得られる利益は面子の回復と不当な権力の再確保のみ。社会全体から見ると何の生産性もない行為だ。公の立場にあるもののやる事でないのは明らかだ。で、本来マスコミはこのような行為を権力が行う事を抑制する事を第一の存在意義とするはずなのに、ここで描かれる北海道新聞は、それよりも組織の存続を第一優先にして、警察の嫌がらせに屈服するのである。そして、これはここ1−2年の権力とマスコミの関係を予言するものだったのだなと思うのである。その意味で、本書の終盤、突然治安維持法の事が出てくるのは、今の目で世の中を見るとすっと理解ができる事だけれども、この本が出版されたのが2012年だった事を思うと、著者は本書に警告をこめていたと思われるわけで、だのにその警告は効を奏さなかったのだなと暗くなるのである。ともかく、人は組織より個人を優先して生きるべきだ。一方、そういう理想を許さない不条理は生活の細やかなところに現れてくるが、その不条理には各人各様に抗わねばならないのであるな、と思うのだ。
- 作者: 高田昌幸
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
- 発売日: 2014/04/25
- メディア: 文庫
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