海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

読書の秋

「誰が「橋下徹」をつくったか」を読んだ。これまで市長の振る舞いをずっと追っかけていくつもの優秀な記事をWebメディアで発表してきた著者が、それらの記事を核に、この8年間大阪で起こっていたことをまとめた本。その中心的な主張は、この現象にはメディア、特にテレビの責任が大きいというものだ。本来のジャーナリズム精神を失って自社の経済的利害の観点から権力に迎合する彼らを厳しく批判している。大阪に住んでいて市長とは同じ時期に同じ学校に通っていた私は否応なく橋下ウォッチャーになっているわけだが、基本的にこの本の観点は正鵠を射ていると思う(っていうか、私の見方が著者の過去記事によって作られてきたのかもしれないが)。で、さらに思うのだが、結局、多くの市民は、将来がどうなるのかとか正しい社会はどうあるべきか、などの、政治家の行う中身については全くどうでもよくて、要はその人のキャラクターだけを見ているのだな。で、これを私の業界に引き込んでいうと、最近たくさん出版されている啓蒙本も、結局は中身じゃなくて著者のキャラクターを消費されているだけじゃないか?と思いたくなることが多いのと同じだなあ、と思って微妙な気持ちになる。いや、実は私も今、そういう本を書いている途中なのだけど、そう思うと、なんだかキーボードを叩く手が止まるのよ。

誰が「橋下徹」をつくったか ―大阪都構想とメディアの迷走

誰が「橋下徹」をつくったか ―大阪都構想とメディアの迷走

そして一気に「たのしいプロパガンダ」も読んだ。娯楽の顔をして忍び込む政治的宣伝について様々な事例を取り上げて紹介した本。最近きな臭くなっているわけで、こういうお勉強は大事であろう。で、プロパガンダとしての映像メディアというのは、以前から私も気にしているところで、かつ上の本とも密接に絡む事案であり、もっと考えていかなきゃいけない問題だと認識を新たにした次第。

たのしいプロパガンダ (イースト新書Q)

たのしいプロパガンダ (イースト新書Q)