海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

映画よりつまらない人生

電車の中に「私の人生が映画よりつまらないなんて許せない」というような内容(表現はこの通りではない)のコピーの載った英会話学校の広告があった。自分の人生をドラマティックなものにするため英会話能力が必要、という煽りだろう。しかしまあ考えてみたまえ。映画より市井の人々の人生の方が面白くなってしまっては世も末だ。というか、ほとんどの人の人生と言うか生活は、客観的に見れば退屈そのものである。上のコピーを真に受けて「私の人生はドラマティックであるべきだ」などと思ってしまうと、そうでない現実を前にして辛いだけ。

とはいえ、人生が本当に退屈かと言うと、それは半分しか真実ではない。誰にでも起るようなことでも当の本人には一大事であって、そのような個別性・主観性を尊重するなら全ての人生は退屈ではないし、客観的な立場から切り捨てると一握り以外の人生は退屈だと言うことになる。ということで、刺激的な人生には、英会話能力のような見せかけの差別化を求めるのではなく、ありふれたことに目を向けてそれを面白がれる能力こそが必要なのであろう、などと窓の外を見ながらぼんやり考えていた。