海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

脱ぎたい時が脱ぎ時よ

本当は今日もビデオを仕掛けて夕方の便で帰ってくる予定だったのだけど、クモたちが脱皮をはじめる前に移動を終えた方が良かろうと言うことと、昨日のうちに私が知っているゴミグモがいる場所の個体は全て採り尽くしていてビデオを仕掛けようにもどこに行ったらよいかわからないということで、午前中の便に変更。今回は行きがGWの最後にかかったせいで特割がなかったために正規の運賃で来たのが幸い。しかしね、予定を変更したと言うことは、変更さえしなければ難を免れていたと後から後悔することが可能になるということで、すなわちマーフィーの法則的に言えば、それはまさに墜、、(以下略)

などとアホな考えに浸っているうちに羽田に着く。今回はスケジュール的にタイトで、昔のウチを見に行ったりとかメロウなこともせず、そもそも長崎行きが恒例になりつつある私の中で、もう二度と訪れることのない街ではなくなっているということで、感傷的な気持ちはほとんど起きなかった。

まあそれはともかく、研究室について荷を解いてみると、案の定一個体がサンプル瓶の中で脱皮の真っ最中。頭胸部が抜けて脚を前方にすぼめた姿勢で次は腹部を抜こうと言うところ。で、慌ててクモに触らないようサンプル瓶から出し(一緒に採集したゴミリボンの上にとまっている)、ゴミリボンを飼育ケースの天井にセロテープで貼り付けて、上からぶら下がっている形にする。この姿勢は飼育下で脱皮する時にしばしば見られる姿勢なのだな。とはいえ、こりゃきっと脱皮失敗だろう、ただでさえ採集した数が少ないのに手痛い打撃であることだ、と思っていたらなんだか無事に終わっているじゃないか。良く見てみると、他にもどうも脱皮を終わらせたとおぼしき個体がいて、こいつらサンプル瓶の狭い空間で、かつ移動中で揺らされまくる中でも脱皮できるようだ。オオ生命の神秘。


で、4時間ほど飼育ケースへのインストール作業をして、ウチに帰って新聞を読んでいると、
コウノトリ 園内で放し飼いする装置開発 多摩動物公園
てな記事が。コウノトリの背中にギブスのような羽の動きを抑制する装置をつけ、園内にいる時は空を飛ばさせておくが、園外に出たときには装置を作動させ、飛べないようにして捕獲するのだとか。自由のように見せかけて実はカゴの中の鳥であると言う。何だか上手く言えないけど、とてもイヤな気持ちになった。