海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

研究者の自我

レンタカーを借りて稲佐山。あんまり数が見られない。ゴミグモは網に食べかすや脱皮殻をリボン状に飾る種で、あまり見逃すことがない種であって、去年も同じ頃に根こそぎ(といっても30個体ほどだが)採ったから、その影響かしらと思ってみたり。で、去年は採るだけだと時間が余ったので、今年はビデオカメラも持っていって、しばらく仕掛けて餌がかかる様子を撮影しようと思ていたのだが、数が少ない上になぜか網をきちんと張らずに枠糸と縦糸だけの個体が多く撮影に往生した。ひょっとして、このクモたちは脱皮の直前じゃなかろうかと心配する。クモを飼っていると、脱皮の時に死んでしまうことがちょくちょくあるので、もし移動途中に狭いサンプル瓶の中という不自然な場所で脱皮を始めようものなら、きっと悲劇が起るに違いないと。

午後は前任校の裏山。ここでは崖になっているところにいる。ゴミグモは普通のクモと違って脅かしても逃げ出さずにゴミの上でじっと縮こまっていてくれるので、手の届かないところにいる個体も、長い棒で網を巻き取ってやるだけで一緒に採れてくるので便利であるが、それでも多少はよじ登ったりしながら採集。どうでもいいが、円網を張るクモはときどき網を引っ越しするのだけど、ゴミグモはほとんど引っ越ししない。そのせいなのか、安定な場所を網をくっつける場所として選んでいることが多い。崖の露出した岩の先端とか、人が手を入れている場所であればフェンスとか、こんもりして枝があまり伸びていない庭木だとか。きっと、風で大きく揺れるような場所だと網が壊れてしまうケースが出てきて、一ヶ所をずっと使いたいこのクモにとって都合が悪いのだろう。

で、今年も目に入った個体は全て採り尽くして前任校へ。事務室の片隅で採ったクモを整理させてもらう。東京に移って一年ちょっとで二度目の訪問と言うことで、あんまり驚いてもらえなくって残念。どうでもいいが、キャンパスの一部が開墾されて畑になっていた。ある先生のゼミとしてやっているとの事。人間環境学部だし、そういう活動は当然アリだ。あー、私も長崎にいた頃は、それをちょっと狙っていて、適当な場所を物色してたんだよなあ、でも一番良いと思ってた場所は新しい建物が建てられてもうないんだよなあ、礫が多くて大変でしょう、という話をする。学生さんたちはとても楽しいようで、みんな熱く語っていたのが印象的。私もこっちでやってみるか?

夕方N大のT野さんと待ち合わせしてS宮さんと三人で寿司。東京じゃあ美味しい魚が食えなくって。で、「今年はあんまりクモが採れなくって、その理由はひょっとしたら、、」と上に書いたようなことを訴えてみたら「そういえば、北海道のショウジョウバエは西日本のショウジョウバエより逃げ足が速いんだけど、ショウジョウバエを研究している北大の某先生は、「ひょっとしたら私が採集しすぎで、それが淘汰圧になっているのかも」って言ってたよー」との事。研究者と言うのは自我が肥大していて、自分の影響力を過大に推定したがる傾向にあるのかもしれない。

で、懐かしのシネコンへ。レイトショーで「ブレイド3」。一作目と二、三作目の違いはブレイドの気持ちが描かれているか否かだな。で、そのまま同じ建物のホテルへ。