海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

アクロバチック

今日は「教養入門」の私の担当の最終日。今回は喋るお題を皆様から募集して、それに答えるという趣向。で、まあいろいろなリクエストがあったのだけど「他の生き物にも好き嫌いはありますか?あるとしたら、栄養の偏りとかないのですか?」というものに答える事にした。これまでずっと食に関わる事を喋ってきたし、このネタなら私の専門にも引き寄せられるし、ということで。

で、まずは「なぜ偏食がダメなのでしょうね?」とか言いながら、「どうしてタンパク質を摂らなきゃならないんでしょう?自分では作れないんでしょうか?そもそもタンパク質って何?」と「タンパク質 原料」とかぐぐって「必須アミノ酸」というキーワードを引っかけてくる。で、「必須アミノ酸をちゃんと摂らないとダメみたいですねえ。じゃあ、他の生物にも必須アミノ酸ってあるんでしょうか?」と検索して、動物と植物のアミノ酸合成能の違いを話す。さらに「じゃあ餌の種類で必須アミノ酸の摂れ方に違いがあるんでしょうかね?」と「肉食 植食 必須アミノ酸 違い」で検索すると、何も引っかかってこないので「必須アミノ酸」を「窒素」に変えて検索すると、動物細胞と植物細胞のC/N比の違いについて書かれたページが釣れてくる。ひとくさり講釈した後で「植食 炭素/窒素」で検索すると、なぜか炭素を使った植物の被食防御の話が出てくる。しめしめと「植物 草食動物 防衛 炭素」で検索をして、植物毒と昆虫の解毒能力のページを引っ張り出し、最後にスペシャリストとジェネラリストのページを出してきて「昆虫でも餌に好みがあるようですけど、それはネガティブなものじゃなくて積極的な餌獲得戦略みたいですね」で締めてみた。改めて書いてみて、なんてアクロバティックな話の展開であろうかと我ながらあきれる。ちょっと私、調子に乗り過ぎかしら?

この講義は去年もやったのだけど、毎回全然違うテーマで話した去年と比べて、一貫して食にまつわる事を話した今回の方が学生の受けは良かったような気がする。最後の感想を読むと、「何気なくやっている食べると言う事でも、突っ込んでいくとこんなに色々な話が出てきて面白いものだ」と思ってくれた人も少なからずいたようである。ということで、やりがいとしては普通の講義以上にあるのだけど、いかんせん即興性の高い舞台で精神的な負担が大きいから、1/4期の5回くらいで終わらせておくのが丁度良い。あー、しかし、これで来週から三コマぶっ通しの日がなくなって楽になるよー。