「無駄学」を読んだ。著者の前作「渋滞学」は滅法面白かったので、期待を持って読み始めたのだが、、、半分以上はトヨタ生産方式への帰依の述懐で、残りはビジネス書風の羅列という。「学」というのは、ちょっと。。。
評価関数が定まって最適解を導ければ、そこからのズレで無駄を定義できるけれど、本書で指摘されるように、その問題は評価関数を実世界で定めるのが困難な事。例えば、トヨタの工場が生産効率をドンドン高めるのは、本書の前半部的にはムダが取れて良い事なのだろうけど、それが国中に道路を作る圧力になったり公共交通機関の衰退に繋がったり、歩いていけるところに車で行くようになったりしているのだとしたら、本書の後半部的にはムダの発生源ってことになるように思う。
トヨタに限らず、ある一部の効率の向上はそのままでは価値の遍在を生むのであって、社会としてはそれを全体に分配しないといけない。現代では必ずしも生きるのに必要でない物やサービスが大量に生産されている訳だけれども、これはその分配のための方便という面があるわけだ。これは無駄で取り去るべき物?それともそうでない?(私は無駄と思う)
- 作者: 西成活裕
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2008/11/01
- メディア: 単行本
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