海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

1、2、3、たくさん、再び

上の子二年生。二年生の学校における一大関門は九九であって、最近毎日上の子は暗誦の宿題をやっている。今は5の段まで来たとか。で、少し前に学校でやったプリントを見せてもらったら、四角形が6個並んだものが7行描いてある。この個数はいくつか?という問題だ。で、この問題を解くのに、四角形の集団を複数に分割して答を出しなさいと指導されると言う。つまり、7行を4行と3行の二つからなるとみなして、上側は6個の塊が4つあるので4 x 6、下側は3つなので3 x 6。これなら、どちらも既に答を知っているので、その答えを足し合わせろ、と。そんなアホな事しないで素直に6 x 7 = 42を教えればいいんじゃないかと思うけれども、指導要領の縛りのある学校教育では往々にしてこういう妙な事が起きるらしい。

それはともかくウチの子だ。その問題を解いたのだけど、先生からは○をもらえなかったとか。というのも、四角形の集団を分割するに、5個の塊を8つ作って、5 x 8、残り2個の塊が1つになるので2 x 1とやったらしい。図には上の子が5個ずつに分割した時の線が残っていて、当然5個の塊は1つの行や列に収まらないから変な形になっていたりするけれども、それでもこのやり方は先生の指導通りであって、私的には合ってるじゃないかと思うわけ。で、先生も期待したやり方と違うから○はつけなかったのだけど、そろそろウチの子の突飛具合に慣れてきたのか、「しっかり考えていますね」という意のコメントが書かれていた。

そしてヨメサンだが、上の子のやり方が間違いとは言えない事を認めつつも、やはり正当な、というか期待されたやり方で解いて欲しいらしく、寝る前に指導している。「ほら、ここで二つに分けるのよ。そうすると上側には6個並んだ四角が4行あるでしょ。これをかけ算でやろうとしたらどうなる?」。ところが、ここで上の子の本領発揮。すいっと「3 x 8!!」と答える。一瞬わけがわからないヨメサン、違うでしょ!と少し切れる。「じゃあ、この下側の3行を計算するには?」「2 x 9!!!」

凄いよな、つまりウチの子はこの図を見て因数分解の基礎のような事をやってるんじゃないか、教わりもしないのに、と私などは感心するわけだけど、ヨメサンはキリキリいらついて、なんでこんな簡単な事ができないのよ!と怒っている。なので、まあそういうな、と介入する。たくさんの集団の中から塊を切り出してくるには、複数の物体の集合を1とみなす操作が必要で、それには言ってみれば抽象的な概念操作だ。で、これはこの年頃の子には決して簡単なものではなくて、比率とかでつまずく子が多いのもそれが原因ではないかと私は疑っている。で、ウチの子の場合、現状2個とか3個とかの小さな数なら抽象的な1とみなす事はできても、4以上になるとたくさん過ぎて現段階ではすっとはできないのじゃなかろうか。というのは、どうしてそうなったのか聞いてみると、3 x 8に関しては、6個並んだ一列を更に3個ずつに分割して考えており、2 x 9に至っては、同じ6個並んだ一列を2個ずつ3つに分割し、その2個の塊を今度は縦に3つあると数えて、2 x 3 x 3だから2 x 9だ!とやったらしい(結合法則を理解している!)からだ。わざわざこんな複雑な手順を踏むのには、それなりの理由があるに違いなく、それは彼の話しぶりから推察するに、2ないし3を使うというのが先にあって譲れないからという事のように思えたのだな。もしこれが正しいとすれば、発達に伴って、もっと大きな数も抽象的な1として扱えるようになるから心配しないでいいんだよ>ヨメサン。