海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

私は短いおっさんです

あしながおじさん」という小説がある。ジーン・ウェブスターが書いた児童文学の名作であることは説明の必要もないだろう。主人公の孤児が匿名の篤志家に支えられ成長する物語だ。この篤志家が「あしながおじさん」で、主人公は、手足の長いクモのようなシルエットでしか彼を知らず、その光景から彼を「あしながおじさん」と呼ぶという話だ。

あしながおじさん」を英語で言うとDaddy long legs。だけど、ちょっと待って。それって、ザトウムシじゃん?なんでクモってことになってるの?ということで、翻訳家の方から以前に質問を受けたことがある。子供向けに新訳を出すのだけど、過去の訳書でクモとなってるのはあれは間違いなのか?って。で、「普通はザトウムシですねえ」なんて答えていた。さらに「まあ、ザトウムシっていうよりクモって書いた方が通りが良いから過去の本ではそうしてたんですかねえ」とか言ってたわけだ。

けど、後からよくよく考えてみると、もしDaddy long legs spiderだとしたらユウレイグモだ。だとすると過去の訳書の方が正しいことになるわけで、にわかに不安になってきた私。冷や汗かきながらメールして、原書を確認してもらったわけ。するとspiderの語はなかったとのこと。じゃあザトウムシだというのがただちに間違いだというわけではないけど、やっぱりクモが間違いだとも否定しきれない。困りましたねえ、という話になった。すると、先方から、原書に乗ってるウェブスターが書いたというdaddy long legsの絵が送られてきた。そしたら、誰がどう見てもザトウムシなんだなこれが。体が丸一つで描かれている点と、8本の脚がほぼ同じ長さである点とその体から上方に伸びる角度は完全にザトウムシ。クモなら体は頭胸部と腹部に分かれるし、脚は第三脚だけ短いし、上方というより側方に伸びるわな。

ということでDaddy long legsは無事ザトウムシであり、過去の訳書が生物学的には正確ではないことが結論として得られました、という話。ちなみに、新訳では、クモという表記は継承しながら、あとがきでザトウムシのことについても触れられておるわけです。

あしながおじさん (10歳までに読みたい世界名作)

あしながおじさん (10歳までに読みたい世界名作)

夜、定期的に寄り合いを開いている町の若者との会。今日は町の議員さんを呼んできてざっくばらんに町政について語る会。時間を間違えて一時間遅れで参加したのは内緒だが、福祉の話とか聞けて面白かった。面白いので、これから1年かけて14人いる町議さん制覇しようという話になった。