何日か前に「地方議会を再生する」を読んだ。長野県飯綱町の町議会改革のことについて書かれた新書だ。この本ではまず某県議のことも引き合いに出して、多くの地方議会がいかに程度が低く単なる行政の追認期間になっているかを述べる。そして、その一方で飯綱町議会がどのようにその問題を克服して、首長と適切な緊張関係を持って行政のチェックを行う二元代表制の理念の実現に向けて進んでいるかについて時系列に沿って説明している。地方議会の堕落というと、私の住んでるところもご多分に漏れず、まあ多くの議員はひどいものである(そんなわけでヨメサンも「まだ私の方がマシだ」と思うようになったわけだが)。で、本書の著者さんは、現状はそうでも右肩上がりが望めなくなったこれからの社会では議会に力があるかどうかで自治体の運命は大きく変わるはず、ということを主張する。で、それはまったくその通りだと私も同意するわけで、つまりこれまでほどの豊かさが持てないならば、クレバーにやらなきゃならないはずで、議会がアホだと浪費や非効率が横行してあっという間に自治体経営が行き詰まるよね、という。しかし、一方で、この本に書かれているような議会改革が成功したのは、元々の議会に党派性があまりなかったことが大きいような気もして、政党や組織をバックに持つ議員が8割を占める私の住む自治体で同じようなことができるかというと、なかなか難しいかもしれないな、という感想を持った。ところで、議員定数や報酬の削減はいまや誰しも賛成するテーマのように思われるが、私自身はどちらも反対である。なぜかというと、定数・報酬を削減すべき理由として主張されるのが今の議会の劣悪さであるが、その問題への対処は議会と議員の質を高める方策を考えることで、定員・報酬削減は筋違いの論理だと思うからだな。で、この本ではそんな私の意見とぴったり同じことが書かれていて、我が意を得たり、という古い言葉を使いたくなったのであった。ともかくこの本、読み物としても面白いので、結構オススメ。
- 作者: 相川俊英
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2017/03/17
- メディア: 新書
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