海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

島本駅西側開発、一年ぶりの説明会

勝Pさんが昨日、東京から京都にいくので、今、私が編集長している某雑誌でやってる新しい取り組みについて取材をするので面子を集めろと急に言い出したのである。で、面子に連絡してみたら奇跡的に全員集まれるということで、今日は午前中から百万遍に。1時間くらいかなあと思っていたらば話は盛り上がって、お昼も食べながらで計三時間。いろんな話ができて有意義だったし勉強になったしなにより楽しかった。春になれば記事にもなるかな。

終わって気が重い中、直帰。夜に、駅前開発の説明会があるのだな。まあしかし開発案件についての行政の説明会なんて普通はセレモニーであって、反対している身としてはどうせ意見のべたり質問したりしても意味ないし、と思うと気が重いわけよ。かといって、スルーしたらそれは粛々と進められるだけであるし、未来のことを思えば無駄だろうけど何も言わないわけにもいかない。いや、いかな私といえども、誰かと対立するのはしんどいことであって、それが無駄なことだと思うとやる気も起きないわけよ。あとややこしいのは、私は議員の家族であって、そこで行政と敵対するようなことを言うのは、どうなの?という論点もあることだ。もちろん私とヨメサンは別人格なので、ヨメサンの職が私の自由な発言を拘束するものではないのが原則であるけれども、世の中にはこの原則をまったく解しない中世的世界観で生きている人もいるわけで、本当なら私は慎重にしておきたいところなのだ。実際去年の説明会では黙ってたし。けど、今年の説明会は去年と違って2日にわけて開催で、今日なんか人の集まりがあまり期待できないにも関わらず、某通信社の記者さんが来てくれるという話があり、そこで質疑応答がしょぼしょぼだとまずいわけ。なので、本当は隠れていたいところ私も発言しなくちゃならないよなー、と思って参加するわけ。で、それが正しいという確信もないので、そうするとどよんとするよね、という。

で、会場についてみたら案の定人が少ないでやんの。困ったなあと思ううちに説明会が始まり、質疑応答に。何人かの方の質問を聞いていると、行政の返事が不正確というかミスリーディングというか質問をはぐらかすというか、そういうのがやっぱり出てくるわけ。これはスルーできへんから、と、とっさに手を上げて、いやその説明はおかしいでしょう、とやったのが三件ほどあった。

具体的な話の一つ目。計画に伴う財政効果についてである。説明では行政は歳入増のことだけ説明して歳出増については一切触れないのだな。そりゃおかしいでしょう。どんなことでもメリットとコストを秤にかけた上でやるかやらないか決めるもので(行動生態学の鑑のような意見だが、これはフロアから出た意見で私のものではない)、メリットだけ示して、ほら未来はバラ色でしょ、ってやられても、今時そんなのに騙される人なんていないわけよ。

こういうのは誰でも思うことで、質疑応答でも最初の頃に、フロアから質問が出た(この質問された方は、ずっと私が関わっている反対運動とはまったく関係のない人のようで、今日初めてお見かけした方である)。歳出見通しどうなってるねんって。それに対する財務部長さんからの答えが、「具体的な歳出増見積もりの代わりに基準財政需要額の増加分を計算していて、それが歳入増より小さいので、財政に問題は生じないと考えている」というようなものだったわけ。

さてここで問題は、説明会に参加している人にとって基準財政需要額なんて魔法の呪文のような文言であって、この説明は参加者の理解を1ミリも深めないし、中には「そうか大丈夫なんだ」と誤解する人も出てくるだろうことだ。

ここで講釈すると、基準財政需要額というのは、自治体の面積規模、人口サイズ、どういう場所にあるか、などなどといった外形的な条件のみによって決まる値で、実際の財政支出とはまったく関係ないものである。これを歳出見積もりの代わりに使うっていうのは、例えていえば、ある人が戸建て住宅を買おうとしてローン返済シミュレーションをする時に、その家の実際の購入価格を元に計算するのではなくて、日本の戸建て住宅の平均価格を使おうとするようなものである。アホかっちゅうねん。

つうことで、私は勇躍手を上げて「いやその説明はおかしいでしょうよ」とやったわけ。基準財政需要額なんて実際の歳出とは大きな乖離があって、今の財務部長さんの発言は問われていることへの解答としてまったくもって不適切だ、と。例えば、開発する時は下水整備や周辺道路の整備、増える人口に対する小学校の増築や保育所の整備などなどに、余分な歳出が必要なはずだ。そこのところは、基本的にランニングコストを見積もっている基準財政需要額にはまったく反映されていないじゃないか。

そもそも基準財政需要額というのは、自治体間の財政格差を均すために国から降りてくる地方交付税交付金の額を定めるために計算するものである。ざっくりいうと、基準財政需要額から税収見込みの75%を引いたものが交付金となる。この交付金の増分は、今回の場合、開発して収入が増えても歳出も増えるだろうからその分は国が面倒を見てあげると、ということになる。で、町行政の示した開発した時の歳入増の計算には、地方交付税交付金の増額分がちゃっかり入っているわけよ。のに、財政効果として収入増だけ提示するってほとんどこれ詐欺ですよ。

すると、財政担当の参事さんが説明に出てきて、また難しい用語で地方交付税のなんたるかについて説明を始める。そんな説明、フロアの参加者には一回聞いただけでは誰にもわからないし、一方勉強している私には必要のないもの。なので、時間ももったいないので失礼ながら途中でお答えを遮って、「で、以前に下水道他整備費として2.3億かかるって行政は言ってたけど、それはこの見積もりに(基準財政需要額に)入っているのか?」と聞いたわけ。すると驚くことに「入っている」という答え。ウソだ!

だって基準財政需要額ってランニングコストを見積もってるんで、一時的な建築支出のことは考えてないはずじゃん!!ということで、「え?入ってるんですか??」と聞いたら、重ねて「入ってる」と答えられる。で、財政担当の行政の人にこれだけ堂々と答えられると、こちらも付け焼き刃の素人の悲しさで、それを否定できなくなったのだな。

ところが、あんまり変だと思ったので帰ってから調べてみたら、やっぱりそれはどう見てもウソ。最大限好意的に解釈しても、ミスリーディングなのだ。確かに、基準財政需要額の計算の中には下水道費という項目があって、ざっくり人口比例でその値が決まる。で、ウチの町の場合、その額は約1億。30000人に対して1億なので、開発に伴う人口増分だとせいぜい500万。この額のことをもって2.3億分が入ってますって、あんまりにもおかしいやろう。ええ加減にせえよ!!

二つ目。ウチの町は待機児童爆増で保育環境について緊急事態宣言を出しているような状態である。ここで更なる人口増につながる開発なんかしたら、子育て世代どうなるねんな、という話だ。で、行政としては、一応これから数年かけて保育所を増設していくという計画を打ち出しているのだが、これはあくまで箱の話。問題の解決のためには保育士さんの確保も絶対条件である。しかし今はどの自治体も保育士不足で奪い合いのような状態になっている。しかも、保育士さんというのは基本自分の住んでいるところの近くで働きたがるものらしいので、近隣の自治体から呼んでこようと思っても容易ではない。

じゃあどうやって保育士確保するの?という質問がフロアから出るのは当然だ。

それに対する答えの一つが、「派遣保育士さんに対して財政から補助する制度を作って頑張ってます」というもの。確かに、ウチの町では今年度予算でそういうのがついたのだな。しかし、これってやっぱり都合の良いことばかり言ってるのだ。ので私が絡んでいくわけ。

「その制度を作ったことで公立保育所に何人保育士さんが増えたんですか?」ってね。答えはゼロ。以前から、ウチの町の保育士確保策というのは、競争力の面でまったく他の自治体に太刀打ちできないものだと聞いていたわけで、外形的には何かやってるようなアリバイだけは作っているということをうまく言いくるめられてはかなわんので、釘を刺しておいた次第。対策はしていても、効果は出てないんでしょ、って。ただし、行政の名誉のために付け加えておくと、民間用の予算は昨年からついていて、そちらでは一応4人の確保ができているそうではある。とまれ、バラ色のことばかり言わず、もっとシビアに説明しないと誰も納得せんよこの時代。

3点目。まあこれ以外にも、いろんな質問が出て、それに行政はほとんどまともに答えられないということが続いたので、フロアから「これもう一回説明会しないとあかんで」との意見が出た。それに対しての町長の答えが「これ以上の説明会は難しいので、個人的に役場に聞きにきてくれればお答えできる」といったようなものだったのだな。

そこで私ブチ切れ。というのも、今回の説明の元になった資料の一つが昨年末に公表されていて、それが出た直後にその問題点について、特に歳出見通しがない点について、仕事納めの日にも関わらず、陽がとっぷり暮れる頃まで、担当職員さんに質問を投げていたのである。それから3週間、たっぷり時間があったはずなのに、説明会ではこちらの質問にはなんら回答がなかったわけ。そこにこの町長の発言でしょ。私、キレてもいいよね。つうことで、今日は説明会の司会であるところのその職員さんに、「ねえ、私、年末に〇〇さんのところに質問に行きましたよねえ」と言ったら、職員さん蚊の鳴くような声で「はい」と。職員さんにはこんなことして申し訳ないと思ったんだけど、でもだからといってスルーするわけにも行かなかったから。ごめんなさい。で、町長に、「そういうわけだから、今の答えはダメだ。全然ダメ」って言い放つオレ。何様なんだよオレ。

やばいなー、こんな目立ちたくなかったんだけどなあ。けどしゃーないんだよなあ。あそこでサクッとレスポンスできるのオレだけだからなあ。

ということで、かなり無茶苦茶だった説明会も終わりに近づき、これ、最後にもう一回だけ演説してやろうか、でも、ここまで随分発言量多かったし、また最後にマイク奪うのもどうかなあと思っていたら、最初に歳出見通しについて質問された方が再度マイクを持ち、今日の説明会とこの開発計画の問題点について、演説を打たれた。その内容については、私が話してやろうかと思っていたのとほぼ同じだったので、おかげで私は最後は悪目立ちしないで済んだわけ。助かりました>知らない方。

終わって会場前で感想戦。通信社の記者さんともお話しする。たった数時間のことで、この行政、この開発計画はヤバい、ということを感じていただけた。あのね、外の世界を知っている人が見ると、今回のはヤバいって一目瞭然なのですよ。これ私ら別に利害関係や個人的趣味とか政治的指向性のもとに騒いでるんじゃないのですよ、これマジで町の将来に大きなダメージになりかねないと懸念してるのよ、と、ここを読んでくれているであろう関係者に向けてメッセージを発信しておきたい。

今日の説明会は終わったけど、まだ明日もう一回あるのだ。ので、終わってから関係者でウチに集まって明日への打ち合わせを深夜まで。あーしんど。