海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

陰鬱な読書

ジェノサイドの丘〈上〉―ルワンダ虐殺の隠された真実

ジェノサイドの丘〈上〉―ルワンダ虐殺の隠された真実

ジェノサイドの丘〈下〉―ルワンダ虐殺の隠された真実

ジェノサイドの丘〈下〉―ルワンダ虐殺の隠された真実

ミュンヘン」に引き続き「ホテル・ルワンダ」にインスパイアされての読書。叙事的にではなく、ジェノサイドを行った人・生き残った人の発言を構成する事で、人の心の問題としてジェノサイドを描くという本。映画は、ツチ族反政府軍の進攻によりジェノサイド側が敗退していくところで終わるのだけど、この本では上巻でその部分は終わり。ツチ族による新政府が出来た後のルワンダ及び周辺諸国での更なる虐殺や軍事衝突を含む顛末についてが下巻で描かれる。

しかし、この本で書かれている事をそのまま受け取ると、虐殺側だけでなくされた側もジェノサイドを受け入れている部分があったように読める。もしこれが本当だったとしたら、私が当然だとみなしている生命に対する倫理観とはかなり異質な考え方が存在するということだ。そんな考え方を私は理解できるだろうかと想像力を拡げてみたが、どうにも難しい。

ところで、映画を見て以来、なぜ農民が殺す側に回るのかを考えているのだけど、ひょっとして農民の自立可能性の高さが理由なのではないかと思ったりした。自分一人でやっていけるなら、他人はいなくなってもかまわない、とかが本質的な原因だったりするのだろうか。逆に奴隷を必要とする人々は徹底的な虐殺は構造的にできない。まさか、そういうことだったりするのだろうか。

久々にフィールドに出かけた。すっかり春だった。