海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

遠い寝床

ばあさんとヨメサンが上の子を「カーズ」に連れていってみた。もう3歳だし、そろそろ映画も試してみなくては、と。おとなしく見ていたそうだし、本人曰く「面白かった」そうなのだが、また行こうか?と問うと「行かない」。と言う事で成功したのかどうかよくわからず。

私は「サイレントヒル」を。「ヘルレイザー」と「ブレアウィッチプロジェクト」と「壁の中に誰かいる」を想起したけど、でもどれとも違うのな。


で、連休も終わるので帰ってくるわけだけど、例によってETC割引のため高速を12時以降に降りなくてはならず、東名から離れている我が家まではその後一時間弱を覚悟していたわけだ。ところが海老名辺りが夕方5時頃から渋滞。私らが通る頃には解消しているだろうとタカをくくっていたが、甘かった。結局20キロ渋滞を通過するのに一時間近く余計にかかった。首都圏の道路事情ってホントにイヤ。

ウチに着くと一時半。やれやれなのだが、私はこれから研究室に行かねばならぬ。当初の予定では、この時期クモのデータ採りは一段落して、何もする必要は無かったはずなのだけど、出発直前によんどころない事情でもうしばらく実験する事になって、でも幸いな事に実験操作の前にはクモの栄養状態を調整するために数日間餌無し期間を作る事になっていて、この連休とちょうど重ねられる事ができたわけだな。ただし、本当の操作をする前の日に、ホンのちょっとだけ準備をする必要があって、そのためにこんな夜中に出かけるのである。よくよく考えてみると、こんな遅い時間に研究室に出かけるのはこの大学に来て初めて。。

である事にちゃんと考えを巡らしておくべきだったのですよ私は。初めての事をしようとすると、必ずと言っていいほど彼我の常識の違いから生じる障害に足を掬われるのが、この大学における私の生活の法則である。強く降る雨の中、眠い目をこすりながら自転車を飛ばし大学に着くと、校門は閉じている。まあこれくらいは想像の内なので、向こうに見える守衛さんの詰め所に「おーい」と大声をかけてみると、大きく手を振り返される。「どうぞ勝手に門をお開けください」と言う意味だと解釈して開けようとするも、門は堅く施錠されている。「アノー、開かないんですけど」と叫ぶと、今度は「ダメダメ。こんな時間には入れないよ」と怒鳴り返される。「研究室に入るのもダメですかぁ?」と何度か言ってやっとこちらが教員である事に気が付いてもらえる。でも「こんな時間に来るなら、ちゃんと事前に連絡しておいてもらわないと対応できないですよ」とか怒られる。

なんでも今から構内巡回に行く予定だったらしく、その後だったら詰め所にも誰もいないので解錠できない、という事態になるところだったらしい。もしそのような状況になったら、柵を乗り越えて入ればいいやというのが、私が持つ大学一般に対する常識であるが、きっとそれはウチの大学では非常識なのだろうから、そんな事にならなくて幸運だったのだろう。でもなあ、確かに今回はあらかじめ行く事がわかってたけど、場合によっては突発的に夜中にフィールドから帰ってきて実験室で何か処理したい事態が起きうるのが私らの分野なんだけどなあ。自然科学系的センスでは大学ってのは24時間いつでも入構可能なもんであってねえ。ぶつぶつ。

で、「いつまで部屋におられるので?」と聞かれて「20-30分ですぐに帰ります」というと「できません」と。巡回の間は門が開けられないのだな。当たり前だ。仕方がないので作業が終わった後も門が開くのをボーッと部屋で待ち、やっとの思いで帰ってきてウチの前。道路から敷地に入ろうとすると、向こうからゆっくりパトカーがやって来るところ。関係ないやと入り口を曲がり駐車場を進みながら、後ろをチラと振り向いてみると、そのパトカーが止っている。イヤな感じだ。で、さらに角を曲がって自転車を駐輪場に置き、さあ寝るベと思って建物に向かおうとすると警官が。職務質問である。そんなこともあるかもしれないと思って、日頃は面倒で点けない自転車のライトまで点灯させていたというのにこれか。

「住人」と憮然と応える私。「そこ」と我が家を指さす。文章で喋るサービス精神などもうかけらもない。すると向こうはバツが悪そうに「夜ですし、雨も降っているので気をつけてくださいね」と、大のオトナにかけるべき言葉とは到底言えないセリフを残して去っていった。

というわけで寝たのは4時過ぎ。あーしんど。