海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

誰かさんみたい

複雑な事をするには時間がかかる。こんな当たり前の事がクモで見られるかどうかを知りたくて、網の非対称性が強くなると造網時間が長くなるかどうかをビデオを使って調べていたのが去年の前半だ。当たり前だけれども、このような現象が見られるとしたら、それは造網行動がクモにとって認知的に負荷のかかる作業である事の傍証になる。

この観察は私だけじゃなくて、Mぺさんの学生さんにも全く同じ方法でやってもらっていた。二人で独立に観察して同じ結果が得られるならば、それは本当に違いないと見做せるから。で、私の方の観察は8月には終わり、ありがたい事に予想した通りの結果を得る事ができた。しかしながらMぺさんの方の観察だと、予想していたのと逆の結果だという連絡が来たのが随分前のこと。こうなってくると、私の結果も怪しくなる訳で、なぜ二つの観察結果が食い違うのか?と随分いろんな検討を繰り返したのだった。けれど、いくらやっても違いが説明できないのである。ほとほと困って、最後の手段で、Mぺさんの学生が計測した非対称性に関する値を私が計測し直してみた。するとびっくり、くるっとひっくり返って二人の結果が一致したという。世界は良くできているなあと思うのよ。

この事自体はめでたいことなのだけれども、でもそれってひょっとして私が計測しないと上手く行かないってことで、つまり自分でも気づかぬうちにゴッドハンドになってたんだったらどうしよう?という思いが拭いきれないのは我ながら厄介な懐疑主義であることよ。

夕方守衛さんから電話。ウチのある方角から黒煙が上がっているので念のため連絡したとの事。ウチに電話しても誰も出ないので、慌てて帰ってみたら消防車がたくさん来ていて、すぐ近くの家が燃えていた。