海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

促成栽培

関係するコースの卒論中間発表会。何の因果か今年も私は司会だ。ところでウチのコースは学際系の幅広さのあるところなので、卒研テーマの設定も基本的に学生本人の興味関心を拡げたところにあるのが望ましいとされる。しかしながら今の普通の学生にそれほど強い興味関心があるとも限らず、そういう人は「お前は何がやりたいんだ?何がやりたいんだ?」と聞かれ続ける事になる。で、やっとのことテーマを決めて、いざ卒論書きとか始めると、腐っても論文だから今度は客観的な視点を持つ事が要求される。だけど、一部の学生はこれまで要求されてきた通りに「私がやりたいことだから」という根拠だけで論を進めてしまうのだな。で、そういう人は発表時に十字砲火を浴びてしまうのだが、冷静にこの構造を考えてみれば、彼らがそのような「オレサマ主義」的卒論書きにハマってしまうのもわからないでもない。

とはいえ、こうも思ったりする。パーソナルな動機に基づいた活動をパーソナルな部分を抜いた手法・論を用いて行うというようなことは、矛盾する要素を自分の中に抱え込むようなものとして受け取られるかもしれない。しかし、まさにそれができるようになる事が成長というものであって、卒業のために乗り越えるべき課題としては、なかなかに適切なものではないかしらん。ということで、何もないところからここまでを4年間でやるというのが高めの要求である事は承知の上で、やっぱりハードルは掲げておかなきゃいけないという。

一方実際に目の前で苦労している学生たちを見ていると、もう少し中等教育段階のうちに自己を確立させておけば、(こちら側も含めて)随分楽になるはずなのにな、とも思うのよ。