海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

蛍の光

東京でデータを採ったあとは京都でも。幸い、昨日から涼しい。と言う事で、10日ぶりに研究室。東京であれだけ豊作だったのだから、京都でもラクチンに集まるはずと思っていたら、こちらは相変わらずあんまりいない。大学の裏山を調査地に選んだのは間違いだったかなあ、と思いつつ、わずか2kmの山道を二時間かけて探索、32個体を得る。で、昼頃研究室のある建物に戻ると、何か館内放送が行われていてその最後の声が聞こえるけど中身は判らない。さらに、閉まっているはずの事務室に明かりが見え、下ろされたブラインドの隙間から覗くと作業着を来た人がいる。むむ、何かイヤな予感がする。採ってきたクモは写真を撮って検鏡して体重を測る。いつもは、各個体ごとに3つの作業を1度に行うのだけれど、今日はイヤな予感に従い、このうち研究室でなければできない体重測定をまず全ての個体で行う事にする。30分ほどで測り終わり、あれ特にいつもと変わらない時間がすぎていくけど、イヤな予感は単なる杞憂だったか、と思った瞬間パチンと電気が落ちる。やっぱりと思い部屋の外に出ると、私と同じく異動一年目の先生も途方に暮れておられて、この気候で大停電じゃあないですよねえ、などとぼんやり話す。そのうち、作業着姿の人が見えたので追っかけていって、これは何でしょう?と聞くと、設備メンテナンスのための停電で5時まで通電しないとの事。えええええ!いや、大学では長期の休みに建物の電気を止めて設備点検するのは普通の事だけど、なんで私たちはその事を知らないの?!と、設備の人によるとちゃんと連絡は行っているらしい(当たり前だ)。私らが不慣れで見落としているのかなあ。

ともかく、こうなってしまったものは仕方がない。もう一人の先生は通電するまで何もできなくなるらしく(しかもつい5分ほど前に出校してきたばかりでこれ)途方に暮れておられたが、野生の勘に従って、後はホテルでもできる作業だけになっていた私は自然の光だけで何とか仕事ができる。と言う事で、天日の良く入る階段の踊り場などにカメラと実体顕微鏡を運んで作業。無事にやるべき事を終える。しかし、窮屈な姿勢での作業で今日ですら汗だくになったわけで、一昨日までの猛暑が今日も続いていたらと更に冷や汗。クモを返して、こうなったら研究室にいる理由など無いわけでそそくさと帰ってくる。