海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

iBooks Author感想

このiBooks Authorというやつ、動物行動の映像データベースの動画を使って行動学の面白さを伝えるための強力なツールとなりそうな予感。ということで、いったいどこまでの物が作れるのか今日は1日使い倒してみる日にする。iBooks AuthorはLion必須のソフトで、研究室の母艦はまだSnow Leopardなので、すなわち今日はウチごもり。ちょうどこの極悪級の寒波も来ているし。

で、昔書いた日本語の総説原稿などを流し込んでみる。章立てを最初に切ってから流し込むと、自動的に目次のページができていたり、文中のURLがリンクになっていたり、至れり尽くせり。そして電子書籍電子書籍たる動く部分は、昨日の動画埋め込みに続いて、スライドショーやkeynote張り込み練習問題作成とか試してみたらあっけないほど簡単にできる。できた書籍の、挿し絵に見えたものをチョンとつついた時に、それが全画面に拡大して細部を確認できるようになった時のセンスオブワンダーたるや、そうなると知っていたにも関わらずすさまじい。いやしかも、そんなまるでスタートレックの世界の一部に、自分の書いたテキストが入り込んでいるわけよ。クラクラ来る。

とはいえ戸惑う部分が無いわけではない。できた書籍は縦持ちでも横持ちでも読む事ができるのだけれど、作成時にはそのそれぞれで、動画の配置等を指定しておかないといけない。それから、横持ち時には写真などの静止画を配置してテキストを回り込み表示にしておくことができるのだけれど、縦持ち時に同じ事を実現する方法が今日の段階でどうしてもわからなかった(横持ち時に配置した写真は縦持ちにすると消えてしまう)。静止画はウィジェットと呼ばれるコンテナの中に入れてから配置すれば、縦でも横でもちゃんと表示されるのだけど、今度はウィジェット内の表示枠の調整が若干不自由だったりする(2/4追記ウィジェットに入れなくてもインスペクタで画像にタイトルをつければ縦でも表示されました)。それからkeynoteのアニメーションでワイプがうまく動いていないところがあった。うまく動くところもあったので、多分これは何かのバグだと思われる。それからkeynoteの場合、1度設定した書類のテーマを後から変更できるのだけれど、iBooks Authorでそれってできるのだろうか?

あと、やっぱり最大の問題は、できた書籍がiPadでしか読めないところ。日本語でこれを使う場合、現状無償配布しか手が無い。ということは、これを使う人は無償でも良いからコンテンツを配布したいと思っているわけで、その配布先が制限されていると言うのは大変に腹立たしい。

と、まあ、まだ洗練させるべきところもチラホラあるのだけど、基本的にはこのツールはすごい。行動学とか生態学とか、ダイナミックな現象を専ら扱っていて、かつビジュアル的に素敵な素材をたくさん持っている分野では、iBooks Authorを使って本や教材を作るメリットは大変に大きいと思われる。みんなで作ってみませんかね?

ちなみに、そのちょちょいと作った書籍サンプルだけど、他所で出版した原稿テキストを使っているので、おおっぴらに配布するわけには行かないのだなあ。もしiPadを持っていてサンプルに興味がある、という奇特な人がおられればご一報を。

夜、クモの網の写真を持ってないか?と某新聞科学部の近しい人から電話。そこの科学部には他にクモ屋業界に強いコネを持つ記者さんがいるのだけれど、そのコネが捕まらないらしく、絡め手から私の方に。で、野外の写真で網の形が良くわかるようなものをご所望なのだけど、クモの網の糸ってのは光を反射しにくいようできているので、実は野外でシャッターを切ったからと言って簡単に網の全貌がクッキリ見える写真を撮れるとは限らない。マスコミで良く見かけるようなのは、コーンスターチや霧吹きを使って糸を見えやすくしてから撮影している半人工的な物が多いのだな。というわけで、あまり手持ちのもので、キレイなのが見つからず、念のため室内撮影の物もくっつけて送ってみた。室内のは、照明をキッチリ設定していて、網の構造を見るには最適だから。すると、そんなことをしているうちに、本来のコネであるところのT川さんが捕まったようで、そちらの写真と私の写真と両方を集めてからどちらかを使う事にしたいけど良いか?と尋ねられる。そりゃあT川さんの方が良い写真を持っているに違いないわけで、私的には異存はない。それにしても先方かなり急いでいるようで、クモの網ネタでいったい何の記事なんだろう?と思っていたのだけど、ひょっとしてこれかな?
クモの巣の強さの秘密、2つの糸の絡み方にあり MIT研究 国際ニュース : AFPBB News

しかし寒い。最寄りのアメダスによると、17時に既に氷点下って、西日本とは思えない寒さ。