海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

タンゲくん

というわけで、今日は町の子供将棋大会の日。会場には60人の小学生がいて、高学年と低学年の部に分かれてまずは予選。特訓したからそこそこ戦えるだろうけど、王手かけられてるのに気がつかずにウッカリ取られちゃったり二歩で反則負けになったりするのが心配。特にぶーちんがよく二歩をするんだよなあ。で、二回勝つと本選進出で二敗するとそれで終わり。逆に言うと一回は負けられるんだけど、、、とかいろいろ揉まなくても良い気を揉む。いや、いろいろ挨拶が長くって。こんなに長いと集中力に難のあるウチの子らには逆境じゃわいとか、さらに気を揉むも、そのうちにスタート。そしたら上の子はあっさり勝利。相手が不注意で、王に当たっている飛車道を止めていた駒をどけてしまったのだな。そうかウッカリさんはお互い様なんだ。一方ぶーちんは相手の大駒を全部取ってしまってもう二歩でもしない限り負けない状態になっているにも関わらず、どんどん王を進めて入玉し、と金を作っちゃ着々と要塞化計画を進めている。いや、それじゃ対局が終わらなくて運営に支障が、、とかこちらは思いもかけぬやきもきに耽るわけだけれども、かといって声をかけるわけにも行かずどうしたもんかと思っていたわけだ。そうしていると、指導に来てくれた五段の人が見るに見かねたのか声をかけに行った。後からぶーちんに聞いたところによると「ちゃんと詰めようね」と指導されたとの事。で、結局のところ、そうして詰めに向かったぶーちんに対して防戦を始めた相手が二歩して終わり、という。つまり、やっぱりウッカリさんはお互い様。

かくして二人とも一勝を確保。あー、とりあえずこれで面子は保たれて親としては一安心。さあ二戦目だけど、上の子はここでミス連発。序盤に何度も敵陣をがたがたにできるチャンスがあったのに、むざむざそれを見逃して、で、今回の相手はデキる子だったのでミスを見逃さずに逆襲してきて、右翼ががら空きの状態に。一方、上の子はそれでも駒を進めて相手を詰める手筋が見えて来た頃、ポンと飛び込んできた相手の龍が王手をかけているのに気がつかずに負けちゃった。私の一番怖れていた展開になりつつあるのか?一方、ぶーちんはなんと不戦勝で労せずして本選進出決定。いいのか?

さらに一緒に参加していたお友達4人が次々と予選突破を決める中、上の子は本選進出をかけた三戦目に。今度の相手は二戦目の相手より経験値がまだ高くないようで、金銀王がピクリとも動かぬノーガードでひたすら攻撃を繰り出してくる。一方、上の子は守りを固めつつ端から突破。冷静に考えれば危なげない状態だけれども、乱戦模様だと何が起るかわからないのが子供の将棋だ。もうお父さんハラハラして見ていられません!と会場から出て廊下を一周して戻ってきたり。いや、そんな父親の心配など他所に、上の子はちゃんと乱戦を制して無事に本選進出決定。おおおおお!と思ったけれども、60人の半分の30人程度の中から16人が本選に出られるのだから、確率は5割ほどもあるんだよね。

で、始める前の父親の目算としては、上の子は本選進出が目標、ぶーちんは一回勝てれば御の字と思っていたので、これでだいぶんと気が楽になる。後は行けるところまで行けばいいやねー。で、ぶーちんだけど、一回戦で惜しくも敗退。駒得していたのに折角のその駒を詰める方向に活用せずにグズグズしていたら詰められてしまったという。一方上の子の一回戦は、予選二戦目で負けた子との再戦となる。今度はお互いミスもなく、やぐらに組んだ上の子のやっぱり右翼に相手の龍が成り込んできた一方、上の子は中央から圧力をかける展開。形の整ったキレイな将棋だ。上の子は堅く守っていて、相手に攻め手が見つからないので、こちらとしても安心してみていられる。で、そのうちにバランスが崩れ出して、上の子が攻め始めると後は疾風怒涛の寄せで押し切って勝ち。親バカ的に言わせてもらうと、上の子が攻めるときのリズム感ってなかなかのものだと思う。今日見た将棋の中で一番面白かった。で、二回戦。ここで初めてお友達と対戦。お友達の中では下馬評的に最強とみなされていた子である。ところが序盤の序盤で彼に痛恨のミス。上の子労せずして飛車を角でただ取りさせてもらい、そのまま勝利。あっけなくベスト4に。

そして準決勝。準々決勝の段階で、次の相手は一回戦・二回戦の相手ほどには強くなさそうに見えたので比較的穏やかな気持ちで見ていると案の定いきなり9筋の歩を突いて角を回してくる。上の子、粛々と角頭を攻撃し、香車を成って危なげない戦いで決勝進出決定。いや、でも、数日前の上の子だったら、こういうときでも囲いを完成させるのを優先させて機を逸しているところだったはず。それは特訓の初期に、ともかくやみくもに攻撃するだけだった上の子に、囲いをする事を教え込んだ副作用。なので、この数日間は「マニュアルに沿って駒を動かす機械になってはいけない。相手の打つ手をちゃんと見て、臨機応変に対応できてこそ人間。すなわち、相手がおかしなことをしたら、いつでも咎める心の準備をしておくのであるぞ」と口を酸っぱくして言っていたわけだ。どうも上の子はちゃんとその言葉を心にとどめておいてくれたらしい。お父さんもう感激。

という事で、ヨメサンも私も全く予想していなかった決勝戦。相手は一年生だけど、将棋の強さに年は関係ないのであって、準決勝の戦いぶりを見るに相当できる感じ。で、いきなり向こうは横歩取りに出てきたのであるよ。うわー、手筋を知っている相手には勝てないー(後から親御さんに聞いたところだと、幼稚園の頃から将棋教室に通っているのだとか。そりゃ強いわ)。ウチが特訓したと言っても、そのほとんどは、囲う事を知らなかった上の子に、攻撃する前に囲う癖をつけさせる事に費やされたのであって、後は現場での上の子の頭の回り具合にすべてを託していたのであるよ。いや、そういう一個人の才気頼りの将棋では、先人の汗と涙(ともちろん知恵)の結晶たる手筋には勝てないー。で、一方的に押されまくり、負けてしまったわけだけれども、それでも終盤上の子は、あきらめずに相手の攻撃をかわしてかわして、粘り強く隙を見て攻撃の足がかりまで作ろうとしたわけで、その、何と言うか親からは弱虫で甘えたにしか見えない上の子が、こんなに頑張れるんだ、というのを見せてもらって、恥ずかしいセリフである事を承知で書くけれど、なんかもううれしくって誇らしくってしようがなかったわけよ。うわー恥ずかしい。

それにさ、ここで、あっけなく優勝しちゃったらあかんやんね。その点に関してはスタローンも亀仙人も同意してくれるはずだ。という事で、準優勝の賞状とメダルをありがたくいただきました。

で、終わってみると、たかが町の子供将棋大会なのに、子供の打つ一手一手にドキドキハラハラして、「ああもうダメだ」とか「よっしゃこれで勝った」とか心中叫びまくる不惑のオヤジを見いだしたわけだ。という事で、また一つ親の気持ちのなんたるかを会得したような気持ちになった一日であった。しかしこれ、いつか子供も受験したりするんだよなー。そのときはオレ半年くらい何も生産的な事ができなくなりそうで怖い。。。