海の底には何がある

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裏表

「黒い迷宮 ルーシー・ブラックマン事件15年目の真実」を読んだ。タイトル通り、この事件について、被害者、その家族、犯人の人となりをルポした本。私も若いときに六本木で夜を明かしたことが一度だけあって、明け方でも路上でたくさんの外国人が騒いでいて、他の盛り場とは全く違うその雰囲気に、ここは一体なんなんだろうか?と思う田舎者だったわけだが、この本を読んでようやくその意味がわかったのであるよ。異国に来て疎外感を感じた同胞が寄り集まるのは洋の東西を問わないわけだ。で、この事件の犯人の闇が深いのか?というと、私の感想としてはそれほどでもなく、むしろそれ以外の人に薄く広がる闇の方が印象に残った。おそらく作者の意図もそこにあるのではないかと思われる。で、その闇は各個人を中心に絶えずさざ波を起こしていて、それがたまたま干渉して大きくなったところに被害者がいた、というそういう枠組みかと。中にもあったが、運が悪かったとしか。で、本文を読み終わったとき、不意打ちを食らってぞぞーっとしたものが体を走ったのであった。これはやられた、という感じ。

黒い迷宮: ルーシー・ブラックマン事件15年目の真実

黒い迷宮: ルーシー・ブラックマン事件15年目の真実