海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

悪人幻想

「愛国と信仰の構造 全体主義はよみがえるのか」を読んだ。戦前の全体主義社会の成立に、日蓮宗浄土真宗の果たした役割について考察した前半から始まる。私もかねがね他力思想の危険な側面については身をもって感じていたところ、ここではなるほどやっぱりそうだったのかと思った次第。いや、他力思想の本質にはそんな面はない、という主張もわからないではないが、問題は、そのような本質をきちんと理解せずに危険な誤読をして振り回す人が現実に存在するということ(性悪を言うなら、ヒトのもつ邪悪な側面にももっと注意をはらって欲しいものだ)。どんなに体に良くたって副作用の強い薬は使いたくないでしょ。どんなに二酸化炭素を出さないって言っても事故になると莫大な被害を起す原発なんか止めたいでしょ、という話だ。で宗教の本来果たすべき役割と未来について論じた中盤に進むのだが、この本を読むと宗教は人間の不合理さの回収装置という役割に見えてくるわけで、私なんて改良主義者だから、副作用の多い宗教なんかに頼らずにヒトの不合理さを減らす方向で進められんかね、と思うのである。なので、正直中盤に関しては同意できないところも多かった。ここは論証というより言ってみてるだけ的な記述が多かったように感じられたし。ただ、ここは私が宗教のことに関する知識が薄いからそう思っただけかもしれない。で、現在の全体主義再来の危機に警鐘を発する後半になって、再びそうだそうだとうなずいて終るという。いや、やっぱり不合理の回収装置なんだから、そこが権力と結びついたらあかんよな。不合理な権力ほど恐ろしいものはないよな、と思うわけですよ。

今日は町でひとはこ古本市をやっていて知り合いがたくさん出店しているので冷やかしに行く。180円でたくさん本を買った。こういうのはよいイベントですねー。