海の底には何がある

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擬人化シンパ

知の構築とその呪縛 (ちくま学芸文庫)

知の構築とその呪縛 (ちくま学芸文庫)

ヒトの知性は社会生活を営む上で必要不可欠な他者の心を読むという能力を高める中で進化してきたと言われる。で、その際に利用されるのが私の心と同じものを相手も持つという「心の理論」であるのなら、ヒトが何かわからないものの中を推察するのに同じ方法を援用すること、すなわち擬人化を行う事は人の知性を最も効果的に発揮する方策なのかもしれない。で、他者の心を読む必要性が、社会の中で利害が対立した時にどちらか一方の一人勝ちに終わらぬよう適切に調整を行うためであったのだとすれば、人間と環境との調和を図らねばならない現在、環境の理解に積極的に人の心を擬するやり方を採用し、世界を心あるものとして考えるのはあながち的外れじゃないのかもしれない、と、この本を読みながら我田引水的に思った。